ここから本文です

「牛蒡音頭」復活を 相模原、郷土史愛好家らが取り組み

カナロコ by 神奈川新聞 7月26日(火)9時3分配信

 おらが牛蒡(ごぼう)はソレ天下一 やれ掘れそれ撰(え)れ-。相模原市南区の麻溝地区で、戦後しばらく親しまれた「牛蒡音頭」を復活させる試みを、郷土史愛好家らが始めた。音源となるカセットテープを発見。かつての踊り手たちの記憶を頼りに、日本の創作舞踊の先覚者・石井漠さんが振り付けたという踊りの再現に取り組んでいる。

 「あー、思い出せない」「『もっと大きく』『ぴしっと足を上げて』と言われたわよ」。6月下旬、麻溝公民館で行われた「ごぼう音頭保存会」の会合。同地区の農家に生まれ、今は相模原や座間のそれぞれの嫁ぎ先で暮らす佐藤千代江さん(83)、関山美代子さん(83)、本多百代さん(81)、吉山菊枝さん(79)が歌に合わせて記憶をたどる。

 戦後の同地区ではゴボウ栽培が奨励され「麻溝ごぼう」の名で特産となった。だがゴボウ栽培は1・5メートルもの穴を掘る必要がある重労働で、昭和30年代に入ると下火になった。栽培が盛んなころ、地元の光明学園の教員だった植村栄輔さんが作詞した「牛蒡音頭」は買い取り制でレコードにもなり、青年団の女性によって踊られた。だが、栽培されなくなるにつれて忘れられていった。

 8年前に麻溝公民館報に「牛蒡音頭」の関係者の話をまとめたリポートが載り、それを知った郷土史研究仲間の中島聰さん(71)、田口孝平さん(65)、平澤哲周さん(35)が調査を開始。市農政課に音頭を録音したテープが残っており、かつての踊り手らと連絡が取れたことから復活を思い立ち、今年4月に保存会を結成した。

 「輪踊りでなかったのでびっくりした」と田口さん。舞台で見せることを意識したのか前列後列に分かれて、体操のようなモダンな動き。歌詞は3番まであり、それぞれ振りは異なる。

 踊り手“1期生”の9人を直接指導したのは市立麻溝小学校の体育教諭だが、「『振り付けは石井漠さん、作曲はその息子の石井歓さん』とみんな言っていた」と地元で生まれ育った中島さん。ただし作曲・振り付けをすることになった経緯は不明という。

 保存会では今後も踊りの再現に取り組み、ゆくゆくは子どもたちへの伝承も考えている。田口さんは、作曲や振り付けの経緯も「レコードの現物が見つかれば分かるのでは」と話し、牛蒡音頭についての情報を求めている。

 連絡先は、保存会の中島さん電話042(778)2568。

最終更新:7月26日(火)9時3分

カナロコ by 神奈川新聞