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子どもも大人も魅了!日本唯一の建築模型専門ミュージアムに行こう

SUUMOジャーナル 7月26日(火)7時30分配信

2016年6月、東京・品川区に建築模型の専門ミュージアム「建築倉庫ミュージアム ARCHI-DEPOT(以下、建築倉庫ミュージアム)」が誕生した。あまりなじみがない「建築模型」を展示・保存する、日本唯一のミュージアムなのだが、休日にはなんと350人以上が訪れることもあるという。では、その魅力とは? 子どもも大人も魅了する、建築模型の世界へGO!

■建築家20名以上、200以上もの建築模型作品が集結

建築模型とは、建築完成予想を模型として示したもので、マンションのモデルルームなどで目にしたことがある人もいるかもしれない。そもそも、一般の人が図面を渡されても、どのような建物になるのかは、なかなかイメージが湧きにくいもの。そこで立体の模型をつくることで、どのような雰囲気になるのか、つかむことができるようになる。

今年6月に誕生したのは、この「建築模型」専門のミュージアム。日本を中心に活動する建築家20名以上の作品、約200点以上を展示・保管している。広さは約450m2とけして大規模とはいえないながらも、週末などにはなんと350人以上が訪れるとあって、注目度の高さが伺える。ちなみに運営をしているのは、保存・保管や管理のプロ「寺田倉庫」だ。

【画像1】天王洲アイルから徒歩5分、寺田倉庫の一角に誕生した「建築倉庫 ARCHI-DEPOT」(写真撮影/嘉屋恭子)

「ここまで多くの方に来場してもらえるとは思っていなかったので、とてもうれしいです」と話すのは、この「建築倉庫 ARCHI-DEPOT」の館長を務める徳永雄太さん。

しかし、なぜ今、建築模型専門のミュージアムをつくることになったのだろうか。
「建築模型は、海外では資料的価値などが認められ、コレクションとして扱われることも多いのですが、日本では建築事務所によって扱いが異なり、残念ながら捨てられたり、もしくは海外に流出したり、とあまり大切に扱われてこなかったんです。明治初期の浮世絵と同じですね」という。

このままではいけないとの危機感から、この建築模型専門の展示・保管するプロジェクトが産まれたという。
「私どもはあくまでニュートラルな立場で、できるだけ多くの建築関係者にご参画いただきたいと考えています」(徳永さん)

【画像2】館内は天井高5.2mと余裕がある。エントランスでは坂茂氏の代表作でもある「ハノーバー国際博覧会日本館」がお出迎え。しょっぱなから大物作品が登場し、圧倒される(写真撮影/嘉屋恭子)

【画像3】完成後はなかなか見ることができない、上空からの様子を見ることができるのも、建築模型の醍醐味。坂茂氏の「相馬市LVMH子どもアート・メゾン」(写真撮影/嘉屋恭子)

【画像4】ひと口に建築模型といっても、使われている素材もさまざま。アクリルもあれば木材もあり、どうやってつくっているのかも気になる。名和晃平氏が率いるSANDWICHが設計したアートパビリオン「洸庭」の模型では、現地で使用されているのと同じ敷石も使っている(写真撮影/嘉屋恭子)

【画像5】ずらりとならんだ模型は、建築家の思考と試作の推移のあらわれ。各種の制限があるなかで、どうやって建築物をつくっていくのか、その思索の過程をたどることもできる(写真撮影/嘉屋恭子)

■写真撮影やスケッチもでき、大人も子どもも楽しい!

2016年7月現在、「建築倉庫 ARCHI-DEPOT」には、日本を代表する建築家でもある、隈研吾氏や坂茂氏、青木淳氏といったそうそうたる面々の建築模型がズラリと並んでいるのだが、どれも精巧でぐっと見入ってしまう。

「実は、このミュージアム誕生前の昨年、イタリア・ミラノ万博で建築模型展を開催したのですが、そのときもすごく好評でした。大人が子どものように見入っているのがすごく印象に残っています。もちろん、子どもたちも、この小さな世界が大好きですよ」と笑う。

さらにすばらしいのが、写真撮影やスケッチがOKであるということ! 日本の多くのミュージアムでは、撮影やスケッチをすることができないが、これは珍しい。写真撮影やスケッチをしていると、建築の世界観に入り込めて、実に楽しいもの。建築を学ぶ学生なら、かっこうのリアルな教材といえそうだ。

【画像6・7】今、日本で一番、注目されている建築家・隈研吾氏の作品。左は観光名所にもなっている「TOYAMAキラリ」。右は「中国美術学院民芸博物館」。一つひとつの模型に途方も無い労力が費やされている……(写真撮影/嘉屋恭子)

【画像8】フランク・ゲーリー氏の自邸の特別展示模型(DGT.制作)。どこか「ハウルの動く城」のように、異素材を組み合わせて、大胆不敵、ユニークな顔立ちをしている(写真撮影/嘉屋恭子)

「お客様には積極的に写真を撮影して、SNSなどで発信してもらえたらと考えています。また、館内は建築模型を主人公にしたく、必要な情報を極力おさえました。そのためQRコードを表示し、そのページにいくと作家の情報などが読み取れるようにしてあるのです」と話す。こうした、今までの美術館にはない、イマドキの仕掛けも大変おもしろい。

【画像9】建築模型を主人公にするため、テキスト情報は最小限に。QRコードで作家紹介ページを閲覧できる仕組みだ(写真撮影/嘉屋恭子)

「私どもはここで建築模型の展示・保管をしながら、新しい出会いの場、情報発信の場にもしていきたい。今、日本で思われている以上に、日本人建築家の建築模型はコンテンツとして需要があるんです。また、日本を訪れる外国人旅行客にも、ぜひ訪れてほしいですね。既存の美術館で日本のコンテンツを発信しているところは、実は少ないんですよ」と徳永さん。

こうした海外へ価値を発信する試みと並行して、子どもたちを対象にしたイベントやワークショップ、建築を学ぶ学生たちを対象にした講義なども行う予定だとか。

ミニチュアのようで楽しい「建築模型」の世界は、一つひとつが、建築家の魂でもあり、小さな宇宙のよう。温度も湿度も管理されているので館内は快適、夏に出かけるにはぴったりだ。ぜひ、親子で出かけて、小さくて大きな「建築模型」の世界にふれてほしい。

入館料:大人1000円、高校生以下および18歳未満は500円(ともに税込)

【画像10】ご存じ・東京スカイツリーの模型。1/30のスケールで。足元は三角だが、次第に円筒となっていく。本物よりも全貌が分かりやすく、じっと構造を観ているだけで楽しい(写真提供/嘉屋恭子)

【画像11】流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館の模型。単なる展示物ではなく、建築家の“垣根なく”という意思や想いが伝わってくる(写真撮影/嘉屋恭子)

【画像12】女性建築家は、より繊細でどこか模型にもあたたかみがあるから不思議。o+hの作品「こどもみんなの家」(写真撮影/嘉屋恭子)

●取材協力
建築倉庫ミュージアム ARCHI – DEPOT

嘉屋恭子

最終更新:7月26日(火)7時30分

SUUMOジャーナル