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国交省が低所得者向けに空き家を活用、本当に活用できるの?

THE PAGE 7/29(金) 7:00配信

 国土交通省は低所得者向け住宅支援策の一貫として、空き家を活用する制度を導入します。年々増加する空き家を活用して、公営住宅を補完しようという方策です。

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空き家増でも公営住宅は不足という背景

 国内には現在、空き家(空き室含む)が約820万戸あるといわれています。空き家の数は1993年には448万戸でしたから、約20年で1.8倍に増加しました。郊外の住宅で育った子供が都市部に就職し、親が亡くなった後、空き家が放置されるといったケースが増えています。今後は世帯数がさらに減少すると考えられていますから、空き家の数もさらに増える見通しです。

 空き家が増えているにもかかわらず、一方では公営住宅の不足という状況が続いています。現在、全国に公営住宅は216万戸ありますが、持ち家がなく、わずかな年金収入しかない人にとっては最後のよりどころです。現在、東京の公営住宅の倍率は何と22.8倍、全国平均でも5.8倍です。今後は、年金生活者の割合がさらに増加すると考えられていますから、公営住宅はますます不足することになるでしょう。

 しかし、いくら公営住宅が不足しているといっても、これから先、人口の絶対値は確実に減少するわけですから、新規の公営住宅を作るわけにもいきません。こうした状況を解決する手段として浮上してきたのが、空き家の活用です。

自治体ごとに空き家登録制度を構築へ

 国交省では住宅問題に関する有識者会議を開催し議論を続けてきましたが、このほど中間報告がまとまったことを受けて、制度の導入を進めることになりました。具体的には、自治体ごとに空き家を登録する制度を構築し、入居を希望する人とのマッチングを行います。また、低所得者が入居しやすいよう、家賃の一部補助を行ったり、リフォーム費用を支援することで持ち主の負担を軽減する制度についても検討を進めます。 

 日本では人口が減少しているにもかかわらず、粗悪な新築住宅ばかりが建設されるという歪んだ状況にありました。既存の住宅インフラを活用するこの政策は、時代にマッチしたものといってよいでしょう。

 ただ空き家の中には相当、質の悪い住宅も含まれており、どこまで賃貸住宅として活用できるのかは微妙なところです。行政からの補助を強くしすぎると、一般的な賃貸住宅の貸し手の利益を侵害しますし、逆に補助が少なすぎれば、空き家を賃貸住宅として提供する人が少なくなってしまいます。試行錯誤を繰り返し、最適な制度のあり方を模索していく必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/29(金) 7:00

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