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日本の大富豪(3)金型業界でカタログ販売 ミスミ創業者 ── 田口弘

THE PAGE 7月30日(土)8時0分配信

 田口弘氏は、機械部品や金型の総合商社であるミスミの創業者です。田口氏は、営業マンによる訪問営業が当たり前の金型業界にカタログ販売を持ち込むという実に奇抜なやり方で、従業員3人の零細企業を年商1000億円の巨大企業に成長させました。

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 カタログ販売の手法を導入した理由は、何と、顧客と飲みに行くいわゆる接待営業が大嫌いだったからという驚くべきものです。もちろんこの話は半分冗談なのですが、営業マンがムダに何度も訪問し顔を合わせながら商談を進めるという従来のスタイルがあまりにも非効率的に思え、そこにビジネスチャンスを見出しました。

 新しい販売手法に対する顧客からの反応は意外にも良好でした。顧客の側も本当に望んでいるのは、詳細な製品情報であって、営業マンの笑顔や接待ではありません。情報満載の分厚いカタログをあらかじめ用意し、顧客が必要な情報の多くをカタログに記載したことで営業効率が向上。顧客満足度もアップしました。ミスミは一気に大手企業に成長し、田口氏も大富豪の仲間入りを果たしたわけです。

 対面営業を廃止したと書くと非常に単純なのですが、現実にこれを実行するのは並大抵のことではありません。従来のやり方を廃止してしまったら、顧客が離れていってしまうのではないかという恐怖にさいなまれます。ここで多くの人は足して二で割るような結論を出しかねませんが、田口氏はまったく違いました。顧客が求めているものをとことんまで追求し、躊躇なく改革を進めることができたという点でやはり田口氏は天才的な経営者といってよいでしょう。

 田口氏の合理主義は、その後も続きます。一度、大手企業の経営者になってしまうと、なかなかその座を手放さない人も多いのですが、田口氏はあっさりとトップの座をプロ経営者に禅譲。ミスミからは完全に身を引いてしまいます。その後、田口氏は起業を志す若手を支援する会社を設立し、新しいビジネスの立ち上げをサポートしています。

 また田口氏は現代アートの収集家としても知られており、内外の280点ほどの美術品を保有しています。しかし田口氏はただアートを集めるだけでは物足りず、現代アートを取り扱う会社まで設立してしまいました。アートの流通市場は不透明な要素が多く、一般の人が安心して良質なアートを楽しむためには、市場の改革が必要との理由からです。田口氏の良識ある合理主義は今も健在のようです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7月30日(土)8時0分

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