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東京電力のシステム不具合は原因を特定できず、問題解決は10月以降に

スマートジャパン 7月27日(水)11時25分配信

 東京電力パワーグリッド(東京電力PG)は電力・ガス取引監視等委員会に対して7月22日に、「電気使用量の確定通知の遅延(業務改善勧告)」の最新状況と改善計画の検証結果を報告した。確定通知の遅延件数は減ってきているものの、問題の根底にあるシステムの不具合については原因を特定できていない状態だ。

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 4月に始まった小売全面自由化に伴って、全国の電力会社は契約変更を含めた手続きを処理する「託送業務システム」を稼働させた。ところが東京電力PGの託送業務システムだけが大きな問題を抱えたまま、いまだに解決の見通しが立っていない。託送業務システムの不具合によって、東京電力PGから小売電気事業者に対して各需要家の電気使用量を通知できない問題が続いている。

 東京電力PGは7月19日からウェブサイトのトップページに「電気使用量の確定通知の遅延について」を掲載した。お詫びのメッセージとともに、「よくある質問」を14項目にまとめて回答を提示している。

 よくある質問の12番目は「根本的なトラブル解消の目処は立っているの?」という内容だが、回答にはトラブルを解消できる見通しが書かれていない。託送業務システムに不具合が発生している原因を特定できていないために、根本的に解決できる時期を示せない状況がうかがえる。

メーターのデータが不足して計算できず

 東京電力PGの託送業務システムで発生している不具合は多岐にわたっている。需要家ごとの電気使用量を確定できない要因は主に4つある。最初の要因は電気使用量を確定するために必要なデータがシステム内にあるにもかかわらず、データの連携処理を正しく実行できていないケースだ。

 検針済みのデータを料金計算の機能に引き継げていない場合や、メーターから送られてきたデータが託送業務システムに取り込めていない場合が該当する。この種の問題であれば、データの連携処理を再度実行することで未通知を解消できている。

 それよりも厄介なケースは、託送業務システムの中に必要なデータが存在しない場合だ。データが不足してしまう要因は3通り想定できている。1つ目はメーターが計量するデータそのものが不十分なケースで、担当者が現地に出向いて再検針を実施しても確認できない場合がある。

 2つ目は旧式のメーターでは計量できないデータがあって、それを補完する処理をシステムで実行できていない問題だ。そして3つ目は旧式のメーターから新型のスマートメーターに取り替えが必要なケースで、取り替えに関する情報が正しくシステムに登録できていない。

 こうしたデータの不足が原因になっている場合には、データの再確認・再登録を実行しても電気使用量を正確に計算できない可能性がある。実際に7月4日に検針した需要家のうち665件については、7営業日後になっても電気使用量を確定できなかった。政府の指針では4営業日以内に電気使用量を確定して小売電気事業者に通知することを求めているにもかかわらずだ。

 東京電力PGが原因を詳しく調査して追加の対策を実行した結果、11営業日後には未通知の件数を294件まで減らすことができた。さらに対策を継続して未通知の早期解消を目指すが、それでも電気使用量を確定できないケースが残る見込みだ。

 そうなると小売電気事業者は電気料金を計算できず、需要家に請求できなくなってしまう。東京電力PGは小売電気事業者とのあいだで「協定」と呼ぶ話し合いを実施して、どのような方法で電気料金を確定させるかを個別に決める方針だ。しかし需要家が納得する形で電気料金を請求することは簡単ではない。

システムを見直して発生原因を特定へ

 実際に小売電気事業者が受ける影響は大きい。身内でもある東京電力エナジーパートナーは、電気料金の請求遅延が発生していることに対するお詫びをウェブサイトのトップページに掲載している。「検針結果を受領次第、順次ご請求させていただきますので、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします」と書いてあるが、使用量が確定できずに「協定」によって電気料金を決める場合があることには触れていない。

 すでに40万件を超える新規申し込みを獲得した東京ガスも「電気料金のお知らせと請求の遅れについて」をウェブサイトに掲載した。ただし詳細の説明は避けて、「影響が確認されたお客さまには、速やかに説明させていただきます」と記載するにとどめている。

 東京ガスは電気料金の請求が遅れている顧客に対して、6月上旬からダイレクトメールによる連絡を開始している。電気使用量を確定することが困難な場合には、7月末をめどに使用量の確定に向けた個別協議に入る予定だ。

 小売電気事業者にとっては本来の営業活動とは別の手間がかかるうえに、顧客の信頼感に影響を及ぼすことは必至だ。東京ガスのほかにも100社以上の小売電気事業者が同様の対応を迫られている。国を挙げて華々しくスタートした電力の小売全面自由化に大きな影を落とす結果になってしまった。

 東京電力PGは市場に与えた影響について、以下のようなコメントを7月25日に発表している。

「電気使用量データのお知らせの長期にわたる遅延等は、当該小売電気事業者さまおよび電気をご使用される皆さまの生活・社会経済活動にご迷惑をおかけすることはもとより、契約切替に対するご不安など、電力小売全面自由化をはじめとする新たな電気事業制度への広く社会の皆さまのご期待を損ねることとなりかねません。当社はこうした状況を一日も早く解消するため、報告した追加対策を着実に実施することにより、8月末までに電気使用量データ等のお知らせの遅延解消に全力で取り組んでまいります。」

 はたして8月末までに未通知の問題は解消できるのだろうか。東京電力PGが委員会に報告した今後の対策を見ると、根本的に解決できる時期は早くても10月になる。従来から続けている暫定的な対策に加えて、託送業務システムの不具合を解消する恒久的な対策を実施する予定だ。

 恒久対策チームは託送業務システムを見直して、不具合の発生原因を特定する任務を負う。発生原因を特定できたら、抑止する方策を検討・実施する。人員も10人から20人へ倍増させる計画だが、一連の作業を完了できるめどは現在のところ10月末である。

 託送業務システムの不具合とは別に、東京電力PGはスマートメーターの設置作業にも遅延を生じていて、9月中に解消できる見通しを明らかにしている。電気使用量の未通知にはスマートメーターの設置遅延が影響を及ぼしているため、設置遅延の問題がなくなって1カ月程度で託送業務システムの不具合も解消できる見込みだ。想定どおりに全面解決できることを願いたい。

最終更新:7月27日(水)11時25分

スマートジャパン