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日銀の国債直接引き受けはヘリマネではないの? 量的緩和さらに拡大なら…

THE PAGE 7/29(金) 15:48配信

 ヘリコプターマネーに関する話題が盛り上がりを見せています。安倍首相が、ヘリマネ論者であるバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)前議長と会談したことをきっかけに市場では様々な憶測が飛び交っています。しかしキーワードばかりが注目され、政策の実像ははっきりしません。従来の政策とヘリマネはどう違うのでしょうか。

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ヘリマネの厳密な定義は曖昧

 ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターからお金をばらまくように、中央銀行が大量の貨幣を市中に供給する政策のことを指しています。ヘリマネの厳密な定義は曖昧ですが、一般的には、中央銀行が対価を必要としない形でマネーを際限なく供給する政策と理解されています。

 現在の量的緩和策は将来、元の状態に戻すことが想定されていますし(出口戦略)、政府は金利を支払う必要がありますから、お金をタダで調達できているわけではありません。しかしヘリマネの場合は、限りなくタダに近い状態、もしくは完全にタダでお金を調達します。

 具体的には、政府が元本や利子の支払いを必要としない債券(無利子永久債)などを発行し、これを中央銀行が直接引き受けるといった手法が考えられます。もう少し広い意味では、中央銀行が直接、国債を引き受ける措置のことをヘリマネと呼ぶこともあるようです。この場合は、利子が発生することになりますが、いくらでも中央銀行が国債を引き受けられるという意味では、限りなくタダに近づきます。

ヘリマネは最悪、通貨の信認が確保できなくなる

 現在の量的緩和策では、いつかは出口戦略に入ると多くの人が考えています。逆に言えば、この通貨に対する安心感がインフレを抑制しているという側面があるわけです。しかしヘリマネの場合には、将来、インフレになる可能性が極めて高くなり、最悪の場合には、通貨の信認が確保できなくなる恐れがあります。このリスクを皆が考えるようになりますから、資産家や機関投資家は手持ちの円を株や外貨、不動産に積極的に転換していくでしょう。これによってインフレの進行を一気に進めようというのがこの政策の狙いということになります。

 当然、ヘリマネは制御できないインフレと背中合わせですから、大変な劇薬であり、本来であれば採用すべきものではありません。過度なインフレにするというのは預金者から強制的に税金を徴収することと同じです。消費税の大増税と大差はないと思ってよいでしょう(お金を取られる人が少し変わるだけです)。日本の政府債務の問題は解決するかもしれませんが、その代わり、預金という国民の大切な財産は奪われてしまいます。

 もっとも今の日本では、すでにヘリマネが行われているという指摘もあります。日銀による国債の直接引き受けは財政法で禁じられていますが、一定の条件下では可能となっており、実際、一部の国債は日銀が直接引き受けています。こうした現状を考えると、今後、量的緩和策をさらに拡大していった場合には、実質的にヘリマネに突入したと認識される可能性もゼロではありません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/29(金) 16:01

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