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火力発電所の排出CO2を50%回収、大規模実証でCCS技術を実用化へ

スマートジャパン 7月27日(水)7時10分配信

 東芝、みずほ情報総研をはじめとする13法人は2016年7月26日、環境省が公募する「環境配慮型CCS実証事業」に採択されたと発表した。2016~2020年度にかけて、火力発電所から排出されるCO2の分離・回収する大規模な設備を建設し、技術・性能・コスト・環境影響などを評価する。同時に海底下に貯留したCO2の漏えい抑制および漏えい時の修復手法なども検討する。こうした取り組みによって、国内の火力発電所などに対するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage、二酸化炭素の回収・貯留)技術の早期導入に向けた政策・措置も検討していく。

 実証の中核を担うCO2の分離・回収設備は東芝が建設する。同社のグループ会社であるシグマパワー有明が運営する「三川発電所」(福岡県大牟田市)内に建設する予定だ。三川発電所は出力4万7500kW(キロワット)の火力発電所である。

 建設するCO2の分離・回収設備では、三川発電所から1日に排出されるCO2の50%に相当する500トン以上のCO2を分離・回収する。みずほ情報総研をはじめとするその他の12法人は、CO2の分離・回収に関わる環境影響評価手法や、国内での円滑なCCS導入に向けて必要な制度などを検討する。これらの実証事業を通じて、2020年度までにCCS技術の実用化を目指す計画だ。

 なお、同実証事業を行う三川発電所は、現在、石炭だけではなくバイオマス発電にも対応する設備更新工事を進めている。これにより、将来はバイオマス発電所の排出するCO2を分離・回収する「世界初」(東芝)の大規模なCCS実証設備となる予定だ。

実証規模はこれまでの50倍に

 東芝は今回実証を行う三川発電所で、2009年9月からパイロットプラントを建設してCO2分離回収システムの研究開発を行っている(図2)。このパイロットプラントのCO2回収量は1日当たり10トン程度。こうしたこれまでのノウハウを生かして実施する今回の実証は、この50倍の量のCO2を回収することになる(図)。

 東芝のCO2分離・回収技術は、化学吸収法による燃焼後回収技術を用いている。運転条件に応じてCO2を選択的に吸収、放出する特性を持つ特殊な吸収液を用いているのが特徴だ。今回の実証ではアンモニア化合物の「アミン」を吸収液として利用する。火力発電所から発生する排ガスを吸収液のある吸収塔に導引して排ガス中のCO2を吸収させる。このCO2を多く含んだ状態になった吸収駅は、再生塔に送って加熱するとCO2を放出するため、再び吸収液として利用することができる。このサイクルを繰り返すことでCO2を連続的に回収していく仕組みだ。

 こうした燃焼後回収技術は、石炭火力、石油火力、ガス火力、ガスコンバインドサイクル火力、バイオマス火力など、CO2を発生するさまざまなプラント形態に適用できる。既設プラントに付設することも可能だ。一般的に火力発電設備は発電コストが安い。一方でCO2を多く排出するというデメリットがあり、これを補える技術が実用化できればそのメリットは大きい。地球温暖化対策に貢献する技術として、その成果に大きな期待がかかる実証だ。

最終更新:7月27日(水)7時10分

スマートジャパン