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新党改革の荒井代表、 「自民に戻れば政治家としての背骨を失う」

ニュースソクラ 7月27日(水)12時0分配信

【参院選・敗軍の将語る(2)】荒井広幸革代表、「分断より合意形成が政治だ」

  荒井広幸新党改革代表(参院議員の任期は25日まで)は、今回の参院選で当選者を出せず、解党と政界引退を表明した。小泉首相(当時)と郵政民営化を巡って論争し、落選、自民党離党を経験し、小政党を実質的に率いてきた。政界ではその行動力で存在感を示し、政界の裏表を知り尽くした異色の政治家。荒井氏に政治への思いを改めて聞いた。(聞き手はニュースソクラ編集長、土屋直也)

 ――参院選で新党改革は当選者を出すことができませんでした。当選が難しいにはわかっていたのにあえて、新党改革で戦ったのはなぜですか。  

 新党改革のやってきたことへの審判を受ける必要があったのです。
 ひとつは、今回の参院選から実施になった鳥取と島根、徳島と高知の選挙区をひとつにした合区導入の参院選改革です。私の提案を、維新の党と日本を元気にする会、次世代の党に説得することができ、最後は嫌がっていた自民党ものりました。
 
 もうひとつは安保法制で、自衛隊の海外派遣の際には国会の事前承認が必要というルールを加えたことです。防衛省、外務省が反対で、特に外務省は最後まで抵抗していましたが、最後は安倍首相も応じてくれました。その意味で、安倍さんは立憲主義を理解しているわけです。

 日本では自衛隊と呼び、他国では軍隊ですが、国外派遣の承認方法としてはもっとも厳しいタガをはめることができました。これらの是非を国民に問う責任が私にはあったのです。

 ――新党改革という小さな政党だからできたということですか。

  当時は少数政党ができるわけがないと思われて、報道も小さいし、知れわたったというわけにはいかなかったのですが、選挙期間のなかで理解は進んだが、届きませんでした。 国民との合意形成をどう作り上げるかという政治技術を発揮することはできました。

 政治が常に政権交代を目指した「対立」だけであってはならないし、(常に敵を作っていく)維新の党の橋下徹さんの手法とも、新党改革は違います。分断から生まれるものはない。世界を見ても、分断から融和へ、合意形成に意を用いる解決策が政治には求められています。

 ――長い政治キャリアがあり、安倍首相とも個人的に親しかった荒井さんだからできた手法ではないですか。

 大学四年生で、参院議長を務めた徳永正利さんの公設秘書になり、その後は県議を経て国会にでました。40年、政界に居ました。経験もないまま国会議員に当選するチルドレンの時代を迎えますが、それでいいのか。とはいえ、一方で私も永田町の垢にまみれています。政治家にも耐用年数があると思っています。

 一緒に闘ってくれた9人の候補はオンリーワンの方々でした。一人も当選させられなかった責任を取らなければならない。自分にとってもっとも重い引退を決めました。国会やバッチにしがみつくのではなく、けじめが必要だと考えていました。

 ――でも、これからでも自民党に戻る選択肢もあったのでは

 大きな政党の長所も短所もみてきました。大きな政党・与党が次善の策さえ出せないことが往々にしてある。なんでも反対で足を引っ張る野党では合意形成はできない。そこに提案により合意形成してゆく新党改革の役割がありました。そして、これを実行してきました。 安倍首相との(初当選以来の親しい)関係で自民に戻れるのに、と指摘する方は多いです。

 あえて自民に戻らず、ここにいるということが与野党からも評価されたのではないか。それでなければ野党各党は私の提案など聞かなかったでしょう。 私のそういう経緯もあって、調整力を発揮できたと思っています。自民に戻っていたらそういう解決力はもてなかったでしょう。

 ――自民党から復党の誘いがこの六年間たびたびあったのでは

 そうですね。

 ――安倍首相の秘書官だった井上義行議員からは、「自民党に残っていたら、官房長官は荒井さんだったと聞いています」と言っていますね。

 ポストよりそういう評価を受けられれば十分ですよ。 郵政民営化に反対したのは市場原理一辺倒への警鐘でした。そして脱原発を訴えてきました。

 「共助力」によって脱原発が果たせるような社会構造を作り上げたい。この二つの大きな方向が違うのに、自民党に戻って当選したとしても、政治家としての根本、背骨を失うことになる。それはもはや「荒井」ではないのです。

 ――脱原発を訴えるようになったのは2011年の東日本大震災以降ですね

   それまでは推進論者でした。その贖罪意識もあります。でも原発問題は諸課題の解決の糸口になります。

 ――政治家としての転機となったのは、郵政民営化を巡っての小泉首相との論争と、対立でしょう。うらみはありませんか。  

 ないと言えばウソになりますよ。でもそれが政治の現実なのです。小泉さんからは今回の参院選の告示後に、私は事務所にはいなかったのですが「脱原発、応援しているよ」と、秘書に伝言をいただきました。

 小泉さんは核のごみの最終処理ができないというところから脱原発を唱えていますが、私は、多数の被害者を生み、避難すること自体が難しいことを問題視します。家庭の給湯器にかわって、水素燃料電池の普及を推進すればそもそも原発に頼る必要はありません。全ての家庭が参加して成り立つ社会です。これこそ「共助力」のなせる結果です。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:7月27日(水)12時0分

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