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マレーシア、熱延メーカー「消滅」の危機。メガスチール、操業再開のめど立たず

鉄鋼新聞 7/27(水) 6:00配信

 マレーシアで熱延コイルの地場メーカーが消滅の危機にひんしている。ライオン・グループ傘下の電炉・熱延メーカー、メガ・スチールが資金難で4月に稼働を停止し、3カ月ほどたった今も操業再開のめどが立っていない。地場の薄板リローラーは海外から原板のホットを調達せざるを得なくなっているが、メガ側は輸入材を締め出そうと通商措置を求めて政府と争っており、情勢は混とんとしている。

 マレーシアのホット需要は年間200数十万トン規模で、主にマイクロン・スチールやYKGIといった冷延から薄板を造るリローラーや、サザン・スチール、アルパイン・パイプといった鋼管メーカーが母材として使用している。
 同国にはホットを高炉から造るメーカーは存在しない。電炉のメガと、ホットの自給を目指しイタリアのダニエリ製プラントを導入したサザンスチールのグループ会社(サザンHRC)の2社のみがホットを生産してきた。
 しかしメガは昨秋にデフォルト(債務不履行)となるほど経営状態が悪化。原料となる鉄スクラップの買い付けもままならなくなり、4月に操業停止へ追い込まれた。
 サザンHRCもかねてから4億2700万リンギット(約110億円)を投じたダニエリのステッケルミル操業が順調でなく、この7月にはダニエリとの契約解除を発表。シンガポールの国際商業会議所へダニエリとの仲裁を求める補償問題にまで発展しており、ホットのサプライヤーとなる芽はついえつつある。
 例年、マレーシアのホット生産は内需の3割ほどに当たる70万トン程度で、もともと輸入材への依存度は高かった。日本からは新日鉄住金がYKGI、JFEスチールがマイクロンと提携関係にあることもあり、昨年は42万トンのホットを輸出している。地場メーカーのメガ製ホットに競争力がないことから、2011年以降、年々漸増傾向にあり、メガの操業停止で引き合いはさらに増える可能性がある。
 マレーシアでは、15年2月に中国とインドネシアから輸入されるホットに対し、アンチダンピング(反不当廉売=AD)措置が発動した。しかしメガは、輸入材の締め出しにはこのADのみでは不十分とし、マレーシア国際通商産業省(MITI)へセーフガード(SG)も求め提訴。MITIは昨年9月からSG調査に乗り出したが、今年1月に発動を見送り、調査を打ち切った。
 メガ側はこれを不服とし、高等裁判所へMITIを訴えるというマレーシア政府との対立が生じている。ただ、すでに生産できていないメガがSGを求めるのは現実的でないとして、周囲の見方は冷ややかだ。日本側も自由貿易推進の立場からマレーシア政府を支援している。
 メガは再建に向け、中国企業をスポンサーに迎えようとする動きを見せているが、設備や製品品質、企業体質に問題があると指摘される中で「具現化する可能性は低い」(商社幹部)。メガはリーマン・ショック以降、中国大手企業や台湾の中国鋼鉄などとたびたび身売り交渉を行っていたものの、条件が折り合わず実現しなかった。

最終更新:7/27(水) 6:00

鉄鋼新聞

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