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熱硬化性と熱可塑性の長所を両立した炭素繊維強化プラスチック用の新材料

MONOist 7月28日(木)7時55分配信

 新日鉄住金マテリアルズは2016年7月12日、現場重合(硬化)型新規フェノキシ樹脂を用いた炭素繊維熱可塑性プリプレグ「NS-TEPreg(エヌエス テプレグ)」を発表した。

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 近年、需要が高まっている炭素繊維強化プラスチックは、一般的にプリプレグ(炭素繊維に樹脂を浸透させた、シート状の製品)を積層し、加熱・加圧・冷却して成形する。成形品は大きく熱硬化性(CFRP)と熱可塑性(CFRTP)の2タイプに分類される。

 熱硬化性プリプレグの成形品であるCFRPは、強度・剛性に優れる。反面、加熱しても鉄やプラスチックのように変形しないため、2次加工性や量産性に課題があり、耐衝撃性も高くない。一方、従来の熱可塑性プリプレグから成形するCFRTPは耐衝撃性が高く、加熱すると柔らかくなるため2次加工性に優れるが、強度・剛性の面ではCFRPよりも劣っていた。

 新規フェノキシ樹脂を用いた炭素繊維熱可塑性プリプレグNS-TEPregは、成形し、CFRTPとなってもCFRPと同等の強度・剛性を備え、熱可塑性の耐衝撃性や2次加工性も有するという両方の長所を両立している。

 同社が開発した新規フェノキシ樹脂は、通常のエポキシ樹脂と同様に未硬化の状態では液状で、硬化完了後はプラスチック同様の熱可塑性を示すという特殊な樹脂だ。さらに同社では、新規フェノキシ樹脂の硬化反応を半硬化状態にコントロールする製造技術も開発。世界で初めて半硬化状態の熱可塑性プリプレグNS-TEPregの量産化に成功した。

 NS-TEPregを用いて作られたCFRTPは、炭素繊維と樹脂との接着力が高いため、CFRP と同等の高強度・高弾性を発揮する。さらに、新規フェノキシ樹脂は靭性(粘り強さ)が高いことから、一般的なCFRPに比べて、成形品の層間強度が高く剥離しにくく耐衝撃性にも優れている。

 また、NS-TEPregには、コールタールピッチを原料とし、同社独自の技術により製造されたピッチ系炭素繊維が用いられている。ピッチ系炭素繊維は、これまでは主に製造装置のロボットアームや宇宙空間の構造材などに利用されてきた。同繊維を用いたNS-TEPregの成形品は、高剛性(たわまない)、低熱膨張(温度による伸び縮みがない)、高振動減衰性(振動が直ぐ止まる)といった性能に加え、放熱特性も有するため、放熱特性の要求が高まっている小型電子機器・機械部品の新材料としても期待される。また、熱可塑における課題が克服されたことで、自動車用途への展望が大きく開けたという。

 他にも、NS-TEPregはその優れた物性(強度・剛性・耐衝撃性)と加工性から、一品一様のカスタマイズが求められることの多い、義足・義肢などの医療用装具や、スポーツ用プロテクター・自転車といったスポーツ用具にも適している。

最終更新:7月28日(木)7時55分

MONOist