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ムーディーズ「ブロックチェーンはまだ実験段階」

ZUU online 7月28日(木)8時20分配信

米信用格付け会社ムーディーズがブロックチェーンの最新動向レポートを発表し、「確実に活発化してきているが、実用段階に到達するにはもう少し時間を要する」と結論づけている。

レポート「クレジット戦略、ブロックチェーン・テクノロジー(Credit Strategy -- Blockchain Technology)」では、現在各国の企業が着手している120のプロジェクトを分析すると同時に、クレジット産業へのブロックチェーン採用の可能性を探索している。

■第1四半期の投資総額は1163億円

ムーディーズが分析したプロジェクトは、資本市場から貿易金融まで実に様々な分野にわたる。

例えばブロックチェーン促進コミュニティー、リナックス財団(LF)によって立ち上げられた「ハイパーレジャー・プロジェクト(Hyperledger Project)には、JPモルガン・チェース、IBM、Intel、日立、NEC、富士通など、国際大手企業が続々と参加。

小規模なプロジェクトとしては、ドイツを拠点とする保険会社アリアンツ(Allianz)による、ブロックチェーン・スマートコントラクトなどが挙げられている。

アリアンツはブロックチェーン技術を災害スワップと大災害証券に採用することで、保険産業に新たな革命を起こそうとしている。

こうした数々のプロジェクトが、以前はビットコインを筆頭とする「仮想通貨の延長線上にあるもの」としてとらえられていたブロックチェーン技術を、一躍「今世紀最大の革命」レベルにまで押し上げた。

ビットコイン関連を含むブロックチェーン・スタートアップへの投資額は、2016年第1四半期だけでも11億ドル(約1163億3600万円)を突破(情報源CoinDesk)。今後もさらに加速すると見こまれている。

■ムーディーズ「実用には時間を要するが、今後も発展しつづける」

しかしムーディーズのシニア・バイス・プレジデント、ロバーズ・ウィリアムズ氏は、ブロックチェーン技術の可能性に向けられた熱狂的な関心を認める反面、「規制環境下における、大規模なブロックチェーンの実装例はほとんどない」と、広範囲で実用されるにはまだまだ課題が山積みである点を指摘。

例えばブロックチェーン最大の難点とされる、情報伝達速度の不安定性はいまだ改善されておらず、データの一貫性や分断耐性なども完璧とはいい難い。

これらの短所を踏まえたうえで、既存のシステムとうまく適合させ、規制環境を考慮しながら産業水準に発展させることも、今度の展望における重要点だ。

ムーディーズは「速度、コスト、安全性、信頼性という点で、ブロックチェーン技術は貢献度が高い」とし、それゆえにさらなる発展と投資が継続すると確信している。

長期的な展望としては、ブロックチェーンの長所(コスト削減、プロセスの合理性)が短所(既存企業とスタートアップ間で競争が激化するなど)に打ち勝つことができるかどうかによって、実用的なサービスや商品としての採用が左右されると見ている。

ブロックチェーンはもはやFinTechという枠にとどまらず、独自の技術として歩み始めている。企業はもちろん、各国の政府や中央銀行までがこぞって関心を示し、着実に研究と開発を進めている。

独自の仮想通貨開発を検討しているのは、ムーディーズのレポートで焦点が当てられている、中国人民銀行(PBoC)だけではない。韓国中央銀行も仮想通貨には懐疑的なスタンスをとっているものの、ブロックチェーン技術の採用には乗り気な姿勢を示している。

英政府は福利厚生や納税記録。ウクライナ政府は投票システム。そのほか米、ロシア、カナダなど、数えあげるとキリがない。世界が今、一丸となって、ブロックチェーンを創りあげようとしている。(FinTech online編集部)

最終更新:7月28日(木)8時20分

ZUU online