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ため池の太陽光発電で新方式、パネル1枚にパワコン1台で効率アップ

スマートジャパン 7月28日(木)7時25分配信

 福岡市の西部にある「蓮花寺池(れんげじいけ)」で7月20日に太陽光発電が始まった。池の水面のうち3400平方メートルを利用して、合計1200枚の太陽光パネルをフロートの上に搭載した。全体の発電能力は300kW(キロワット)で、年間の発電量は30万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して83世帯分に相当する。

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 ため池の太陽光発電では初めてマイクロインバーターを採用した。1台あたりの出力が太陽光パネルと同じ250ワットの小型のパワコン(パワーコンディショナー)である。1枚の太陽光パネルに1台ずつマイクロインバーターを接続して、発電した電力を水上で直流から交流に変換できる。

 マイクロインバーターを使うメリットはいくつかある。第1に太陽光パネルごとに発電した電力を変換できるため、他のパネルの影響を受けることがない。通常は複数の太陽光パネルを組み合わせて1台のパワコンで電力を変換することから、パネルのうち1枚の発電量が何らかの理由で少なくなった場合に全体の発電量が影響を受けてしまう。マイクロインバーターを使うことで発電量の影響を最小限に抑えることができる。

 第2のメリットは感電のリスクを低減できることだ。通常のパワコンでは複数の太陽光パネルを600~1000V(ボルト)の直流ケーブルで接続する。電圧の高い直流ケーブルが池の水面に触れると、保守の時などに人が感電するリスクがある。

 一方マイクロインバーターを使うと、電圧の低い200Vの交流ケーブルで接続できる。さらにケーブルに異常が発生した場合には太陽光パネルの発電を停止して電流が流れない仕組みになっているため感電のリスクは低い。

 マイクロインバーターには1台ごとに監視制御装置が付いていて、パネル1枚単位の発電量を遠隔から監視することが可能だ。パネルの故障や異常が発生した時にも、該当するパネルを迅速に特定して対応できる。

フロートは実績のあるフランス製を採用

 水上の太陽光パネルで発電した電力はマイクロインバーターで交流に変換した後に、ケーブルを通じて陸上の受電装置へ送る仕組みだ。受電装置で高圧(50kW以上)の電力に集約して送配電ネットワークへ供給する。受電装置の近くには電気自動車用の充電器も設置した。

 水上式の太陽光発電に欠かせないフロートにはフランスのシエル・テール社の製品を採用した。高密度ポリエチレン製の2種類のモジュールを組み合わせて架台を作り、その上に12度の傾斜角で太陽光パネルを設置する方式だ。日本でも埼玉県や兵庫県で稼働中の水上式メガソーラーで使われている実績のあるフロートである。

 蓮花寺池の太陽光発電は福岡市が公募して実施した。公募で選ばれた地元の太陽光発電事業者のパワーマックスが建設・運営する。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、福岡市には池の賃貸料が入る。賃貸料は20年間で約700万円を見込んでいる。ため池などの農業用施設の維持管理費の軽減に生かす方針だ。

 マイクロインバーターを使った水上式の太陽光発電設備は、福岡市をはじめ福岡県内にある農業用ため池に広く展開できる可能性がある。福岡県全体では農業用ため池が5000カ所以上もあり、九州の7県の中では最も数多く分布している。

最終更新:7月28日(木)7時25分

スマートジャパン