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【ファミキャリ!会社探訪(39)】エンジニアのスペシャリストが集うトライフォートを訪問!

ファミ通.com 7月28日(木)12時2分配信

●“ファミキャリ!会社探訪”第39回はトライフォート
 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍する各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。39回目となる今回は、トライフォートを訪問。
 2012年8月に創業され、現在では約180名の従業員が所属している同社。スタッフを“プロジェクト”と技術などの“ディビジョン”それぞれに所属させるマトリクス制を導入するなど、ユニークな組織運営を行っている。そこで今回は、同社の代表取締役CEO・大竹慎太郎氏に話を聞いた。

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●世界に通用する“ものづくり”を追求する
――大竹さんの経歴から教えてください。
大竹慎太郎氏(以下、大竹) まず、新卒でサイバーエージェントに入社しました。サイバーエージェントには5年ほど在籍したのですが、当時はまだ“Ameba”というサービスもいまの形はなく、ネット専業の広告代理店のような位置付けで、私も営業職の仕事をしていました。その後、勉強し直したくなって大学院に入って経営を学び、またその間の2年間は事業の立ち上げをしながら、大学院と両立していました。そして、2012年の8月にトライフォートを設立しました。私のような営業出身者は、当社のようなエンジニア中心の会社には珍しいと思います。

―――サイバーエージェントを志望した理由は何ですか?
大竹 大きく分けてふたつありました。ひとつ目は当時孫正義氏が「これからは情報産業だ」とおっしゃっていた時期で、これから若い層が活躍できるのはIT産業だろうということで、IT業界を志望しました。ふたつ目は、じつはサイバーエージェントは最初に受けた会社だったのですが、集団面接含め5回くらい面接がありました。その面接で、私自身が実際に働いている姿がイメージできたことが大きかったですね。

――御社はエンジニアの専門集団ということですが、なぜそのような会社を起こそうと思ったのですか?
大竹 営業出身の私が営業の会社を作るのはわかりやすいですが、それでは当たり前だと思います。設立当時に立てた仮説が、技術者を集めた会社のトップに技術者が立つのは、組織を作るという点ではうまくいかないのではないかというものです。私は、それまで会社や組織が大きくなっていくプロセスを見てきました。営業出身の私がトップに立つことで、これまでにないユニークさが会社の切り口になるのではないかと考えたわけです。

――社名の由来や、起業時の会社のビジョンについて教えてください。
大竹 起業当時、“ユニークな組織体制を持つ”会社にしたいと考えていました。組織が持ち味を出しながら、事業が成り立つ会社にしたいと思っていたので、どういった会社にするかというビジョンについて、徹底的に考えました。まず会社のビジョンについてですが、“世界トップレベルの技術(ものづくり)会社を創造し、常に「あたりまえ」を超えるサービスを生み出す”です。技術には“ものづくり”とルビを振っていますが、世界で通用するようなものづくりができる会社を作りたいという思いがあります。
 別の話になりますが、日本が戦後の高度経済成長を成し遂げられたのは、トヨタやホンダ、ソニーといった企業が生まれたからだと思っています。それらの会社はどういった会社だったかというと、当時新しいマーケット、さらに言うとこれから成長するであろう新しいマーケットにおいて、世界を相手に勝つことができたからこそ、日本も復興できたのだと思います。現在は、スマートフォン向けアプリやインターネットにおけるサービスも、ほとんどがアメリカを中心した海外がメインになってきています。そう言ったことからも、“ものづくり”において、世界で勝てる会社にしていきたいと考えています。
 また、社名の由来ですが、“トライ(tri=3)”と“フォート(fort=砦)”を掛け合わせています。こういった会社にしていきたいという3つのミッションがあり、さらに、それを守り続ける砦・要塞であり続けたい……という意味が込められています。

――では、その3つのミッションを簡単に説明してください。
大竹 ひとつ目は“環境変化に対応したものづくり力を高め続ける”です。インターネットビジネスや新しいマーケットの世界は、とにかく変化が激しいです。新しいデバイスが出てきたり、新しい会社が誕生したり、と。ですから、たとえばスマートフォンだけのことを念頭にビジネスをしていると、新しく別のデバイスが出てきたときに対応できません。さまざまな環境変化が起こりうるなかで、環境に応じたものづくりができる能力……それはエンジニアリングの能力かもしれませんし、デザインの能力かもしれません。変化に対応できるように、つねに能力を高めていきたい、と考えています。
 ふたつ目は“新しい価値観を生み出す”です。これは事業に関しても、組織に関しても同じですが、ほかの会社の事業や組織、成功事例を真似ることも重要ですが、自分たちの手でトライフォート流の組織やプロダクトを生み出し、新しい価値観を発信しなければいけないと思っています。模倣ばかりではなく、自分たちがゼロから何かを発信することが重要です。
 そして最後は、“関わる人すべてを幸せにする”です。経営陣や従業員、株主、サービスを利用しているユーザーもそう。関わった人たちすべてを幸せにしていきたいと思っています。経営陣のエゴでいろいろなことを進めるのもイヤですしね(笑)。

●技術者集団ならではの“マトリクス制組織”を採用
――御社が採用している人事形態の“マトリクス制組織”について、具体的に説明していただけますか?
大竹 マトリクス制組織を採用した大前提として、我々の事業はプロジェクトの数が非常に多いことが挙げられます。自社サービスや外部からの受託サービス、その中間である他社との協業サービスと、幅広く行っています。さらに弊社の主力であるアプリ開発にフォーカスしても、ゲームもあれば、ゲーム以外のサービスアプリもあります。常時15から20ものプロジェクトが進行しているのです。プロジェクト数が多い場合、組織として管理、工夫をしないとうまく回らないケースが起こります。その工夫として取り入れたのが、マトリクス制組織と呼ばれるものなのです。
 “ものづくり”に対しては、“この技術を究めたい”、“このプロジェクトに参加したい”という両軸があります。マトリクス制組織なら、その両方のニーズに対応することができます。ふつうはプロジェクトを前提とした組織を作りますが、プロジェクトと技術など専門的なディビジョンというふたつの軸に分けることで、ハイブリッド型の組織運営をしていこうというのが、採用した理由となります。

――なるほど。プロジェクトとディビジョンはクロスしている関係になるわけですね。
大竹 たとえば、横軸として複数のプロジェクトがあるのに対し、縦軸にはUnityのディビジョン、ゲームデザインのディビジョンなどがあります。“ものづくり”の種類に応じて、プロジェクトごとの組織を作ることができるし、技術単位によるディビジョンごとの組織を作ることもできます。また、当社では基本的に誰もがプロジェクトとディビジョンの両方に属することになります。プロジェクトでは、数字を追ったり、プロジェクトマネジメントを行い、ディビジョンでは技術をいかに伸ばすかといったことを追求しています。

――マトリクス制組織による、デメリットや課題はありますか?
大竹 プロジェクトとディビジョンの両方に所属することによって、それぞれに上司が存在することになります。そこで責任範囲が不明確になることは起きうることですが、責任者どうしも、しっかりとコミュニケーションを取ることが求められます。

――ただ、当然優秀なスタッフは取り合いになりますよね?
大竹 そうですね。しかし、スタッフの取り合いになったり、特定の人に負担がかかりすぎないように、プロジェクトマネージャーの上には部長がいて、ディビジョンマネージャーの上には統括という役職があります。彼らが調整することで、うまくマネジメントできるようにしています。

――御社は設立4年で180名という、かなりの規模に成長していますが、所属しているスタッフの特徴はどのようなものですか?
大竹 会社の特徴として、技術の幅広さが挙げられます。事業という趣向を持つ人もいれば、技術という趣向を持つ人もいて、“ものづくり”のための幅が広いのです。技術の幅というのは、行っている事業に依存するものですが、我々は受託もやっているので、その幅が広いのです。技術の幅が広いおかげで、精鋭スタッフを集めれば、基本的には何でも作ることができると思っています。

――経験者の中途採用以外に、新卒も採用されているのですね?
大竹 はい。じつは新卒採用にはこだわりを持っています。というのも、新卒で入ったスタッフというのは、当然他社のカルチャーを知りません。ですから、会社のカルチャーや方向性を作っていくのは、彼らになります。もちろん、バランスも大事ですから、現在はまだ中途採用のほうが多いです。

――スキルアップできる環境として、勉強会などがあるそうですが、どのような内容のものがあり、どういった効果をあげているのですか?
大竹 たとえば“Tech倶楽部”というものがあります。ちなみにこの名称は、“Tech”と“Love”を掛け合わせています(笑)。いわゆる部活動のようなもので、申請が承認されれば部費も支給されます。“Tech倶楽部”には、“VR部”や“3Dシネマ部”などがあり、必要な機材を購入して、技術力を高める活動をしています。将来的に、新規事業を生み出すための投資とも言えると思います。部活動として、仕事外でも各々のスキルを伸ばせる環境を整え、その延長線上に事業として成立すればいいという考えもあります。

●IPによる協業や海外展開を視野に、さらなる業務拡大を目指す
――御社のホームページなどを拝見すると、社内で積極的にコミュニケーションを取っているように感じます。
大竹 組織を作っていくためには、社員間の“相互理解”が必要になります。なるべくコミュニケーションが取れるように、プロジェクトごとやディビジョンごとに定期的に懇親会費用を割り当てたり、また、半年に一度は、私と全従業員ひとりずつが面談する場を設けています。

――その場ではどういったお話を?
大竹 世間話もしますし、いま所属しているプロジェクトやディビジョンの問題点を聞いたり、会社の課題を挙げてもらったりしています。ざっくばらんに話をして、会社のよりよい環境作りや組織作りに役立てています。

――面談では、現場からの生の声を聞いているわけですね。
大竹 もちろん、私には直接話しにくいこともあるでしょうが、こういった取り組みはやらないよりもやったほうがいいと思います。

――現在手掛けているタイトルについて、教えてください。
大竹 タイトルは多岐に渡るので、弊社のゲーム戦略についてお話します。我々はパブリッシャーというよりはデベロッパーですから、現在ではIP(知的財産)や弊社にない強みを持った会社と組んで、シナジーを生んで、アウトプットしていく取り組みを頻繁に行っています。ですので、タイトルというよりは、まずよりよいデベロッパーとしての地位を確立し、IPを持った会社や、弊社とは違う強みを持った会社と組んでシナジーを生み出すことが基本的な戦略です。また、LINEさんとは資本業務提携を結んでいて、LINEさんのゲームタイトルも開発しています。そういった協業もゲーム戦略の基本スタンスです。

――ちなみに、御社にはプランナー的なスタッフはいるのですか?
大竹 たくさんいますよ。エンジニアが中心の会社ではありますが、純粋なエンジニアは5~6割ほどになります。ですから、自社だけでゼロからゲームを開発する能力もあります。ただ、現在は戦略的に自分たちにないものを持った会社さんと組んで、お互いにシナジーが出るような協業を目指しています。

――どのような人といっしょに仕事をしたいとお考えですか?
大竹 基本的には、マインドが高く、自発的に物事を発信できる人や“ものづくり”に対する情熱を持っている人や、技術力の高い人といっしょに仕事をしたいと思っています。加えて、ゲームはエンターテインメント領域ですし、ゲームはある意味でコンテンツを楽しんでもらうためのツールだと思いますので、ゲームという枠にとらわれずに、もっと幅広い“ものづくり”をしていきたいという思考が強い人ももちろん大歓迎です。
 幸い弊社は、ゲームジャンルも「これしかやらない」という戦略を取っていませんし、VRやゲーム以外のコンテンツもどんどんと作っていきたいと考えています。当然ゲーム好きは大歓迎ですが、ゲームに対する考えかたをもっと拡大して、エンターテインメント全般がやりたいという人も好ましいです。もちろん、どういったタイプの人でも、間口を広くして受け付けています。

――現在、転職を考えているクリエイターにひと言お願いします。また、未経験だがゲーム業界に興味があるという人には、どんな準備をして、どんなスキルを磨いておけばいいかなど、アドバイスをいただけますか?
大竹 “ものづくり”のためには何らかのスキルを持っていることが必要ですし、生み出すためのロジックが最低限分かっていないといけませんが、感性を磨くことが非常に大事だと思います。ゲームが好きで、徹底的にゲームをやり込むことも大事なのですが、ゲーム以外のさまざまなエンターテインメントにも、ゲームを生み出すヒントが隠れている気がします。幅広いものに触れて、感性を養うことはとても大事だと思っています。

――5年後、10年後のトライフォートはどうなっているか、どのようなイメージをお持ちですか?
大竹 先ほどお話した、3つのミッションをすべて達成していることがベースですが、組織ももっと大きくしていきたいですし、変化に対応できる最適な組織であるようにしていきたいです。もちろん社員数も増やしていきたいし、事業ももっと増やしていきたいです。エンターテインメントの領域では、ゲームをコアとして、それ以外のエンターテインメントにも参入していきたいと考えています。
 エンターテインメント以外のIT分野でも、いくつもヒットを飛ばしていたいです。5年、10年後というスパンならば、当然海外でも事業を展開し、受け入れられるサービスを数多く生み出している状況でありたいですね。

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<トライフォートってどんな会社?>
 営業畑出身である大竹氏を中心として、2012年に起業したトライフォートは、現在では約180名もの従業員が所属する大所帯へと成長。ソーシャルゲームやスマートフォンのサービスにおいて、自社開発、受託開発、さらに、協業によるコンテンツ制作などを行っている。高い技術力をベースに、IT・インターネット分野において、世界を代表するようなサービス、一歩先を行く価値観を日本から世界へと届ける、“ものづくり”会社であることを信条としている。会社のビジョンは、“世界トップレベルの技術(ものづくり)会社を創造し、常に「あたりまえ」を超えるサービスを生み出す”。

株式会社トライフォート
●代表取締役CEO:大竹 慎太郎 ●設立年月日:2012年8月2日
●従業員数:約180名(2016年3月時点)
●事業内容:スマートフォンアプリ・ソーシャル領域に特化したアプリケーションの開発・運営

最終更新:7月28日(木)12時2分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。