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餌から魚、ほぼ移行せず 海底土の放射性物質

福島民報 7月28日(木)9時45分配信

 国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所の研究グループは、東京電力福島第一原発事故で汚染された海底土の放射性物質が、餌を介して魚に移行する例はほとんどなかったとする実験結果をまとめた。福島県沖で今後生まれる魚から食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る放射性物質濃度が検出される可能性は「極めて低い」と分析している。
 いわき市の中央台公民館で27日に開かれた県漁協組合長会議の席上、同研究所が報告した。
 実験は水産庁の委託事業。福島第一原発付近、広野沖、いわき市四倉沖で採取した土を水槽に敷き詰めた上で小名浜沖の海水をかけ流し、福島県沖の環境を再現した。アイナメとマコガレイを入れ、同じ条件で飼育したゴカイとイソガニを餌として与えた。
 70日間にわたり海底土、魚、餌などのセシウム濃度を測定した。土は一キロ当たり140~220ベクレルほどで、餌も8ベクレル以上のものがあった。しかし、アイナメとマコガレイは全期間にわたり2ベクレル以下で推移し、大きな変化は見られなかったとしている。
 研究グループの重信裕弥研究員(38)は実験結果について、アイナメが雑食性で、マコガレイも泥の中の餌を食べる習性があることから「出荷が制限されている他の魚種も含め、餌を介して海底土の放射性物質を取り込むことはほとんどない」と分析している。
 また、現在のモニタリング調査では原発事故当時から生きている魚から比較的高い放射性物質濃度が検出されることがある、との見解を示した。その上で「今後、生まれた魚や県外から移動してきた魚から食品衛生法の基準値を超える値が検出される可能性は極めて低い」とみている。
 研究グループは昨年、汚染された海底の土から直接、魚に放射性物質が移行することはほとんどないとする研究結果を発表している。
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 福島県によると、国が出荷制限を指示している本県沖の魚介類はアイナメ、マコガレイ、クロダイ、スズキなど21魚種。一方、ヒラメやホシガレイなど23魚種は放射性物質モニタリング検査で放射性セシウム濃度が食品衛生法の基準値を安定して下回り、出荷制限が解除された。
 県漁連は試験操業の出荷基準値について、食品衛生法の基準値より厳しい1キロ当たり50ベクレルを自主基準値としている。

福島民報社

最終更新:7月28日(木)11時42分

福島民報