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高畑勲氏『火垂るの墓』 『となりのトトロ』との同時上映に「不安あった」

オリコン 7月28日(木)23時1分配信

 『火垂るの墓』(1988年)、『かぐや姫の物語』(2013年)などの作品で知られるアニメーション作家の高畑勲氏が28日、都内でフランス・デンマーク合作の長編アニメーション『Long Way North』(レミ・シャイエ監督)の上映会にゲスト出演。「何かについて書けだとか、語れだとか。年寄りになるとこういうこと増えるのかな」と少し照れながら登壇し、感想などを語った。

【写真】ゲストとして登壇 『火垂るの墓』について語る高畑氏

 高畑氏は自身の代表作『火垂るの墓』について、「公開前は子どもに観せていいんだろうかと、不安になったことがあった」と振り返り、「あのトトロと同時上映だったんです。(同じ料金で)どちらを先に観るかという問題。『火垂るの墓』を先に観た人はかわいそうでしたね」と語って笑いを誘った。

当時は“アニメは子どもが観るもの”というイメージがいま以上に強く、戦争の悲惨さを描いた『火垂るの墓』は子どもには刺激が強いと批判されることも想定していたそう。「もちろん子どもが観たって平気だと考えて作ったんだけど。本当に問題にならなかったね」と心配は杞憂に終わり、夏の時期になると、テレビでも放送される定番のアニメとなっている。

 一方、この日上映された作品は、まだ帆船が活躍していた時代、少女サーシャが、祖父の歴史を辿り、サンクトペテルブルグから極北への航海に挑む冒険談。3月に開催された『東京アニメアワードフェスティバル2016(TAAF2016)』のコンペティション部門・長編アニメーションでグランプリを受賞した作品だが、国内では配給がつかなかった。

 高畑氏は「アニメは嘘をつくけれど、この作品は嘘のつき方気持ち良い。この上ない困難に立ち向かい、状況が好転して目的を達成するシンプルなストーリー。この単純さが大事なんじゃないかな」と作品を評価しつつ、「配給がつかなかったということは、採算取れない、日本ではウケないと判断された。それはどういうことなのか。その答えを持っているわけではないけれど…。配給会社の人が見に来ていたら説得しようかと思ったけど、いないみたいだね」と、クオリティーの高い海外のアニメーション作品がなかなか日本で上映されない現実をぼやいていた。

最終更新:7月28日(木)23時4分

オリコン