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コメディのふりをした哲学ドラマ『家売るオンナ』

オリコン 7月30日(土)7時0分配信

 『家売るオンナ』(日テレ系)が初回から2週連続で視聴率10%超えと好調だ。手がけるのは数々のバラエティ番組でディレクターとして活躍してきた小田玲奈プロデューサーだ。念願だったドラマ制作に携わった小田氏に意気込みを聞いた。

強いヒロインによって周囲が変わっていくプロセスが描かれる(4話のシーン)

■『有吉ゼミ』の人気シリーズからドラマの企画がスタート

 日本テレビが7月13日より送り出した新水曜ドラマ『家売るオンナ』が12.4%の高視聴率でスタートした。「私に売れない家はない」を信条にする不動産会社スーパー営業ウーマンが毎回、さまざまな顧客の願いを叶え、若手社員をしごきぬく。大石静のオリジナル脚本のもと、主演を北川景子が務め、工藤阿須加、千葉雄大といった若手注目俳優に加え、イモトアヤコや仲村トオルなどをキャスティングした。

「バラエティ班に所属していた頃に『有吉ゼミ』の“坂上忍、家を買う”シリーズに関わって、人生の最大の買い物である不動産に向き合うお客さんの真剣さや、知られていない不動産の情報に接しました。この体験をドラマにしたら面白いと考え、企画として提出したのがそもそもの始まりです」(日本テレビ放送網 制作局 小田玲奈氏/以下同)

 この企画が認められて、小田氏は念願のドラマ班に2年前から所属となった。初めてドラマのプロデュースを担当するにあたり、尊敬する脚本家、大石静に企画を持ち込んだ。

「大石さんも“お宅拝見”的な番組がお好きで、家族の問題などを織り込みながらドラマ化することで一致しました。大石さんは数多くの名作を生み出しましたが、私は胸に刺さるセリフが織り込まれている、大石さんのコメディセンスが好きですね」

 有言実行、強いヒロインのキャラクターづくりも2人で構築した。

「大石さんは、コンプライアンスを重視し、オブラートに包んだ発言しかできない現在に、あえてビシッとものが言える女性のドラマを、今回の企画が立ち上がる以前から考えていたそうです。私は“私に売れない家はない”というフレーズが頭に浮かんでいて、『ハケンの品格』のような強い女性のドラマをつくりたい思いがありました。かつて不動産の取材をしたときに、“顧客の人生を背負う不動産を斡旋する職業なのに、なぜ私たちは先生と呼ばれないのか”と語る営業レディに出会ったのですが、そのキャラクターもヒロイン像に活かされています」

 バラエティ感覚をもつ小田氏とベテラン脚本家の個性が化学反応し、凡庸なセリフは1つもない、弾けていながら深い仕上がりとなっている。

■強いヒロインによって周囲が変わっていくプロセスを描く

「ヒロインをキャスティングするにあたり、早い段階から北川景子さんを想定していました。凛としていて、放つオーラが半端じゃない、信じられないほどの美人という設定を考えたら、北川さんしか考えられません。ご本人も白黒はっきりしたタイプで、役柄には違和感がないとおっしゃっていましたが、仕事に対して真っ直ぐな点もヒロインそのままでした」

 ヒロインを囲む共演陣にはバラエティに富んだ顔ぶれを揃えている。

「コンプライアンスに縛られ、パワハラを恐れる上司役に仲村トオルさんをお願いしました。恰好のいい役が多い仲村さんが、ヒロインの言動に右往左往する。そのおかしさを狙いました。イモトさんはバラエティの親近感もあるし、イラっとさせながらも憎めないキャラクターがぴったり。演技も素晴らしく上手でした」

 演出には大石静作品を経験し『悪夢ちゃん』などで知られる猪股隆一氏が選ばれた。弾けた脚本にさらなるパワーを注入している。

「“コメディのふりをした哲学ドラマ”だと、仲村さんがコメントされていましたが、本当にその通りです。ダメなものをダメと言いきる勇気を称え、強いヒロインによって周囲が変わっていくプロセスを描く。成長のドラマになったと思っています」

 バラエティの現場で培ったセンスを活かしながら、今後もユニークなドラマづくりに邁進していきたいと語る。現在も『家売るオンナ』の制作と並行して、新作の構想に余念がない。

「そのためにも『家売るオンナ』をさらに成功させたい。これからも予想を裏切る展開が次々と用意してありますので、ぜひご注目ください」
(コンフィデンス 16年8月1日号掲載)

最終更新:7月30日(土)7時0分

オリコン