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高橋一生、「夢が叶ったことがない」 過去の悔しい経験

オリコン 7月29日(金)8時40分配信

 俳優の高橋一生が、女優・剛力彩芽主演ドラマ『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(テレビ朝日系・毎週金曜11:15~)の2話から、本格的に登場することが話題となっている。高橋といえば、『民王』(同系)で一躍脚光を浴びた名バイプレイヤー。これまでも多くの作品に出演して存在感を発揮してきた彼の、今作への考え方とは? 俳優としてのターニングポイント、そして過去の悔しい思いが基点となる、独特のスタンスについて迫った。

【写真】“皇帝の微笑み”より優しい? 高橋一生の朗らかな笑顔

◆役作りは無理にジャンプするのではなく“徒歩”で辿り着ければいい

――剛力彩芽さんが主人公・一木くるみを演じるドラマ『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(テレビ朝日系)ですが、高橋さん演じる清沢晴樹は、第2話から本格的に登場します。これまで官邸食堂総料理長として一切を仕切ってきたスゴ腕のフレンチシェフですが、高橋さんはどんなキャラクターだと考えていますか?
【高橋一生】 変人だと思っています(笑)。料理人としてとても輝かしい経歴の持ち主だし、清沢会(清沢率いる料理人軍団)を引っ張るだけのカリスマ性がなくちゃいけない。彼の今までの経歴が細かく説明されることはないかもしれませんが、きっと特殊な環境で育ってきた人だと思っていて。だから、自分の世界を貫いていることにフォーカスを当てて演じようと思っています。

――そして清沢が料理を出すときや、余裕があるとき必ず見せるのが“皇帝の微笑み”。
【高橋一生】 すっとぼけた笑いになってないか、ちょっと不安はあるんですよね(笑)。でも、なるべくドシンと重心を置いた笑顔に見えるよう心がけています。だからといってポージングを意識し過ぎちゃうと、逆に振り切り過ぎちゃって変な方向にいっちゃう可能性もあるなって。観てくださる方は、いつもの僕の笑顔だと思ってください(笑)。まぁ、彼は人から「“皇帝の微笑み”が出た!」と言われても、あまり気にしないタイプだと思いますけどね。1話でも片鱗が出てると思いますけど、(自分を指差して)こんな顔じゃないですか?(笑)。

――役作りに関しては?
【高橋一生】 実は僕、役作りっていうものの概念がわかっていなくて。僕にとって役作りというのは、主観で言うと、“役に対してジャンプする”っていう感覚。でも僕はその必要はないと思っていて、普通に徒歩で行けるんじゃないかなって感じています。そこまで境界線を引いて、ガツンと飛んでしまうと、なんか違うのかなって。あとは台本に書いてあることがすべてだと思っています。言葉で「こうしたい、こう表現したい」って芝居を表すことはできても、言い過ぎちゃって実際にできなかったら意味はないですし。ある程度は言いますけど、言い過ぎないよう気を付けています。

◆20代で演じていたのは引きこもり役ばかり 転機は『Woman』だった

――清沢は原作にはいないキャラクターですが、今回も役作りは“徒歩”で作った?
【高橋一生】 そうですね。ただ撮影に入る前は甘くしていたフォーカスが、だんだん合ってきました。とはいえ原作の有無は、僕はあまり気にしないんですよ。映画になりそう、とかドラマになりそうっていう作品ってありますけど、自分がやれなかったときに残念なので、なるべく小説もマンガも読まないようにしてるんです。だって悔しいですもん。

――これまで、そういう悔しい思いをした体験があるんですか?
【高橋一生】 『暗いところで待ち合わせ』(乙一作)という小説を読んで、主人公の相手の男の子の役が、すっごいステキだと思ったんです。映画化されたとき、自分が演じられなかったあまりの悔しさに、ものすっごいジョギングで走りましたね(笑)。悔しいときは体を動かさないと、やっぱり陰(いん)の部分が抜けないんで。

――高橋さんは多くの作品に出演されていますが、ドラマ『民王』(2015年・テレビ朝日系)をきっかけに、より注目が集まったように思います。
【高橋一生】 『民王』に出演させていただいてから、声をかけてくださることも増えたし、共演者の方にも「あの作品は面白かったね」と言われることが増えました。知ってくださることって、ありがたいなと思います。

――『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)でも、最初から強烈な存在感でした。
【高橋一生】 そういう役をいただけるようになったんだなぁって、俯瞰で、感慨深く思ってますね。ある程度メインの方に絡んだりとか、そういう役をいただけることが僕は今まで少なかったので……。真摯にやっていかなくては、と自戒を込めて思っています。

――役者としてのターニングポイントは?
【高橋一生】 僕の中では『Woman』(2013年・日本テレビ系)です。脚本家の坂元(裕二)さんに出会えたことが大きかったです。僕が20代のときに演じていたのは、引きこもり(の役)ばっかだったんですね。引きこもり、引きこもり、引きこもりからの殺人犯、引きこもりからのストーカー、みたいな(笑)。ひとつのイメージが付きすぎて、そればかりを引きずっていたというか。でも、坂元さんは僕にまったく違うものを望んでくださいました。現状を打破する想像力のある方が声をかけてくださったからこそ、自分の中で“こういうこともやらせていただけるんだ!”と思えた作品です。

――今回の清沢もそうですが、最近ではクールな役が多いようですが。
【高橋一生】 クール、そうですね。僕自身としては、何だか自身でも自身をわからない人で居たいんです。人って、得体の知れないものに対して定義づけるから、説明できないものは端的な言葉に当てはめて、自分の恐怖を無くそうとするんだと思うんです。クールだって言われると、“その枠にはまってしまってるんだな、僕”っていうのはあります。できる限りそれを崩していけたらとは思いますが、でも、クールって思ってくださってるだけでも、ずっと引きこもりでも、印象に残ったのならいいかと(笑)。

◆僕はあまり夢が叶ったことがない人間 周りの方たちに任せた方がいい
――これから、こんな役者になりたいというような希望は?
【高橋一生】 僕、あまり夢が叶ったことがない人間なので、今は“こうなりたい”というのはないんです。僕を起用してくださる、周りの方たちに任せた方がいいのかなって。さっきの小説の話じゃないですけど、僕が凝り固まっちゃって“悔しい”とかって感じたくないので、もっと広い心で“役をいただける”というモードを作っていたいんです。

――夢が叶ったことがない、というのは?
【高橋一生】 もちろんこれまでは、“こういう作品に出たかった”という想いもたくさんあったんです。でも今、自分の想像以上の素敵な役、仕事をいただいている状況であって。もし自分が制約しすぎてしまうと、そういうことがもう起きないかもしれない、とも思う。自分を変にライン引きしちゃうと、その外に出るときにすごく大変なことになる気がするので、それはあまりやらないようにしています。

――名バイプレイヤーとも言われていますが、主役を望むことは?
【高橋一生】 『民王』スピンオフでもやらせていただきましたし、主役とかバイプレイヤーとか、あまり考えてないですね。作品の一部に帰依しなくちゃいけない、と思っているだけで。

――ちなみに、以前『スタジオパークからこんにちは』(NHK総合)で歌声を披露されて。あまりにお上手で驚いた人も多かったようで。歌手への野望はあるんですか?
【高橋一生】 実は先日、森雪之丞さんにお会いしたときに同じように「どうなの?」と言われました(笑)。雪之丞さんの作る詩が好きなので、雪之丞さんが曲を作ってくださるなら、僕いくらでもやらせていただきます!と思っています。
(写真/古謝知幸・ピースモンキー 文/今 泉)

最終更新:7月29日(金)8時40分

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