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感情的に叱るのは極力やめたいが…それでも、もし叱ってしまった時は?

ベネッセ 教育情報サイト 7/28(木) 10:00配信

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
ちょっとしたことでキレて子どもを感情的に叱ってしまいます。その後しばらく、お互い重い気分が続きます。先日、娘がキャンプに行く時もそんな感じで、仲直りできないまま、気持ちよく送り出せませんでした。娘が家を出てから、「これではあの子もキャンプを楽しめないかも」と後悔しかわいそうになりました。叱りすぎた時は謝ったほうがいいでしょうか?

相談者・からんころん さん (小学4年生 女子)

【親野先生のアドバイス】

からんころん さん、拝読しました。

叱ったままで子どもを送り出すと、うっ屈した気持ちで過ごすことになりますね。もちろん、子どものほうも同じような気持ちで過ごすことになります。
子どもは、叱られて気持ちがもやもやしていると、下を向いて歩くので視野が狭くなります。登校の時間帯は通勤ラッシュの時間帯でもありますので、交通安全の面でも危険が高まります。
私の経験から考えても、朝叱られて登校してきた子は、教室に入ってくる時の顔がいつもと違っています。笑顔が消え、不機嫌そうに暗い表情をしています。そういう子は、友達とトラブルを起こしたりケガをしたりする可能性が高まります。授業中も上の空で集中できません。

また、夜、寝る前に叱られてそのまま寝るのも精神衛生上よくありません。というのも、寝ている間中その嫌な気分が続くからです。

ですから、感情的に叱るのは極力やめるべきです。それでも、もし叱ってしまった時は、できるだけ早く子どもに謝ったほうがいいと思います。
「カッとなってごめんね。ママ言い過ぎちゃった」
「ひどいこと言ってごめん。こういう言い方よくないよね」
「大声出してごめんね。怒り過ぎちゃった」
子どもは、親にこう言ってもらえると安心しますし、よほどのことがない限り許してくれます。

実は、親が感情的に叱った時、子どもは次のように感じています。
「○○を守らなかった自分も悪かったけど、そんなに怒らなくてもいいじゃない」
「○○しなかった自分も悪かったけど、そういう言い方はないんじゃないの」
つまり、たいていの場合、親の言いたいことが頭ではわかっています。でも、感情的かつ理不尽に叱られたことで気持ちの部分で納得できないのです。
親が謝ってくれれば気持ちの部分も納得できます。すると、素直な気持ちになれるので、かえって親の言うことを聞けるようになります。

ですから、親が謝る時に次のような言い方はしないでください。
「ママも悪かったけど、あなたも悪いのよ」
「ひどいこと言ってごめんね。でも、そもそもあなたが○○しないからいけないのよ」
「ママ言い過ぎた。ごめん。だけど、あなたもやるべきことやってよね」
これでは子どもも謝られた気がしませんから、素直に受け入れることができません。

よく、不祥事を起こした芸能人や政治家が謝罪会見をしますが、その謝罪が世間に受け入れられない場合があります。それはたいていの場合、余分なことを言ってしまうからです。謝る時は謝ることに徹することが大事です。
まだ世間が許してくれていないうちに、余分なことを言ってしまうと「言い訳」と思われてしまいます。それで、受け入れてもらえなくなるのです。

ですから、親として「感情的に叱ったのは悪かったけど、やはりこれだけは子どもに言いたい」ということがある場合も、それを言うタイミングを考える必要があります。
一番に考えるべきは、子どもの気持ちの部分です。まだ子どもも、もやもやした気持ちでいる時は言わないようにして、「もう大丈夫。受け入れられる」という状態になってからにします。
それは、数時間後で大丈夫なこともありますし、あるいは翌日とか数日後などにしたほうがいいこともあります。その時は、もう一度謝ってから伝えたいことを伝えます。

「さっきは大きな声を出してごめん。ママはあなたが時間通りに帰ってきてくれないと心配でたまらないの。だからつい大きな声になっちゃって……。こわかったでしょ。ごめんね」

親「昨日は怒ってごめんね。ところで、なんでお母さんは怒ったと思う?」
子「約束したことができてなかったから」
親「わかってくれてうれしいわ。ありがとう」

「この前は○○のことでひどいこと言ってごめんね。どうしたら、○○ができるようになるか一緒に考えて工夫しようか」

最後にいくつか。
謝ってもらえると、子どもは気持ちがすっきりしてうれしくなります。それで、謝られるとうれしいということを身をもって知り、謝ることの大切さを学びます。すると、自分が謝るべき時には素直に謝れるようになります。

なかには次のように思う人もいるかもしれません。
「親は子どもを生んで育ててやっているのだから謝る必要などない。子どもに謝ったりしていると親の沽券(こけん)に関わる」
でも、親子といえども一人の人間同士であることにかわりはありません。相手に理不尽なことをしてしまった時、謝るのは人間として当然のことです。
もちろん初めから感情的に叱らないようにするのが一番です。
私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

参考:
子どもに対してイラつき、カッとなってしまいます
http://benesse.jp/kyouiku/200708/20070822-1a.html
子どもに対し、イライラして怒鳴ってしまいます【前編】
http://benesse.jp/kyouiku/200809/20080909-1a.html
子どもに対し、イライラして怒鳴ってしまいます【後編】
http://benesse.jp/kyouiku/200809/20080930-3a.html

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最終更新:7/28(木) 10:06

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