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新都知事が、橋下徹に学ぶべきこと

NewsPicks 7/28(木) 6:30配信

橋下・大阪改革のブレーンが語る「東京改革プラン」

東京は今、改革期を迎えている。では、どんな改革をどう進めればいいのか。その質問をぶつける、ベストな人物が“改革請負人”として知られる上山信一・慶応義塾大学教授だ。上山氏は、運輸省、マッキンゼーの共同経営者を経て、過去10年、ブレーンとして、大阪府・大阪市の改革に携わってきた。新・都知事がやるべき改革、改革のためのゲームプラン、各候補者の評価、橋下知事に学ぶ改革のリーダーシップ、東京のポテンシャルなどについて聞いた

東京は世界有数の幸せな場所

──東京はうまく改革すれば、世界一の都市になれますか?

東京には、地震以外はリスクがない。私は141ヶ国を旅したけれども、東京は圧倒的に居心地がいい。治安などの心配をしなくてすむ。

しかも小金でもエンジョイできる。ラーメンを食って幸せだと感じられる。ニューヨークみたいに、稼いでいる人だけが安全を手にするわけではない。格差が激しくなる世界経済の中で、東京のそうした部分は、世界最先端だと思う。

テロがなく、格差が激しくなく、ラーメン一杯で幸せを感じられる。これは小市民的な幸せかもしれないが、21世紀の都市の時代を絵に描いたような都市だと思う。

──グローバル化という点で、東京はニューヨークやロンドンに劣っているとよく指摘されます。

実は、東京のライフスタイルはすでにグローバルだと思う。世界中の食べ物がふんだんにある。アメリカ化という意味での、グローバル化はもうちょっと進める余地もあるかもしれないが、すでに、かなりいいところに来ていると思う。

市民生活という点でも、緑が多い。家が狭いとは言われるが、世界の都市はどこも同じような感じだ。山手線の中の都心は、ニューヨークのダウンダウンのような感じで、世界有数の幸せな場所だと思う。

ただし、都心以外は、今後どんどんスラム化していくので、オリンピックの後を見据えた政策を今から考えておかないといけない。

橋下徹の天才的なところ

──最後に、改革に必要なリーダーシップについて教えてください。橋下徹さんが改革を推進できたのはなぜですか。

1つ目に、弁護士らしく、賛成派と反対派の意見を全部聞いて、うまい落とし所を見つけるのが天才的にうまい。

しかも、真実を突き止める作業を自分でできる。仕事の末端まで見えている。「伝票を持って来い」といった、ディテールまで徹底的にやる覚悟をつねに匂わせているのがすごい。迫力がある。

しかも、橋下さんは、一般のイメージとは違って、職員には優しい。橋下さんにけちょんけちょんに言われた職員は一人もいない。だから、すごく人望がある。とりあえずすべて受け止めて、「君たちよく頑張っているね。でも、ここらへんが気になるから、ここの案を持ってきてくれる」という接し方をする。

2つ目に、経営感覚がある。

子供のころからお金に苦労しているし、弁護士事務所の経営でも苦労しているので、世の中の感覚が非常によくわかっている。政治家の中には、一部の二世議員、三世議員など、そうした感覚が若干麻痺している人もいるが、橋下さんは生業を営む人の苦労がよくわかっている。

橋下さんは、一般庶民の感覚と、経営者の感覚をよくわかっているので、平たく言えば、相手の立場がわかったうえでケンカができる。だから、「立場はわかるけど、本音で議論しましょうよ」という関係に早く持っていくことができる。そこは天才的にうまい。

最後に、橋下さんは、首尾一貫して、政治家としてメシを食おうと思っていない。だから、実際に政治家を辞めてしまった。

もちろん、将来、彼が政治に戻ってくる可能性はあるが、彼の関心の中心は、大阪をよくすること。大阪をよくすれば、日本全体がよくなるという発想だ。

そこが、東京の人たちとは考え方が違う。東京の普通の人たちは、「都知事をやったら、その次はいよいよ総理」という人生スゴロクを考える。

一方、橋下さんは、大阪を立派な街にするために、その過程で、法律改正をしたり、国の協力を得たりするために、国政に行ったほうがいいのであれば行くという考え方だ。

その根底にあるのは、各論で都市の再生をしないかぎり、日本全体をぼんやりとどうすると言っても無駄だというスタンス。私も橋下さんと同じ考えなので、大阪の再生にかかわってきた。

以前、霞が関で働いていたのでわかるが、霞が関の仕事は、知的に全然おもしろくない。定点観測で見ていても、霞が関は動きがないし、どこかで聞いたような話ばかり。

しかも、現在の行政のテーマと有権者の関心は、教育、医療、福祉。しかし、この分野の現場情報が霞が関にはない。

よく言われるように、19世紀は帝国の時代で、20世紀は国家の時代で、21世紀は都市の時代だ。先端課題は全て都市にある。国政の新しい政策の知恵も全て都市にある。

だからこそ、東京都政をどう改革していくか、東京をどんな街にしていくかは、世界最先端の課題であり、知的におもしろい。今回の都知事選は、東京が改革への第一歩を踏み出す、大きなターニングポイントになりうるだろう。

佐々木紀彦

最終更新:7/28(木) 6:30

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