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米鉄鋼大手の4~6月期、通商措置で業績回復

鉄鋼新聞 7/28(木) 6:00配信

 米国鉄鋼大手の業績が急回復している。26日に発表されたUSスチールとAKスチールの4~6月期(2Q)決算は、前年同期および1~3月期比で共に最終損益が改善し、AKは3四半期ぶりとなる純利益を上げた。日本を含む世界各国から熱延コイルなど鋼板輸入をアンチダンピング(反不当廉売=AD)措置で減らしたのが「奏功」した形だ。

 USSは2Qの最終損益が4600万ドルの赤字(約50億円の赤字、前年同期は2億6100万ドルの赤字)だった。6四半期連続の最終赤字となったが、赤字額はこの6四半期中では最小だった。AKは1730万ドルの黒字(前年同期は6400万ドルの赤字)に浮上した。
 米国では業績が悪化した地場ミルが昨年からホットや冷延、表面処理鋼板、厚板といった鋼板類でAD提訴し、その影響で一時は月間400万トンを超えていた輸入鋼材が300万トンを割るまで減少。日本も表面処理鋼板を除く3品種でAD対象に含まれ対米鉄鋼輸出を減らしている。
 米国内の自動車や建材といった鉄鋼需要は堅調で、輸入材が減ったことで米ホット市況はショートトン当たり600ドル強という世界でも最高値圏を付けている。米ミルは値上げ浸透と、輸入材に取られていたシェアを奪うことで業績を回復させた格好だ。
 USSとAKの高炉勢に比べ、一段と収益を上げているのがニューコアやスチールダイナミクス(SDI)といった電炉勢だ。米高炉が抱える利払い負担やレガシーコストが少ないことから、ニューコアは純利益を前年同期比で9割増、SDIは5・5倍へと伸ばしている。
 一方、高炉勢は幾多の通商措置を繰り出しながらも、収益力はいまだおぼつかない。
 AKは営業利益では6260万ドル(8・8倍)を上げたものの利払い負担が4140万ドルに上り、小幅な純利益にとどまった。
 USSは赤字こそ縮小したが、セグメント別の税引き前損益で見ると米国鋼板事業の利益はわずか600万ドル(前年同期は6400万ドルの赤字)。かつての稼ぎ頭、鋼管事業は7800万ドルの赤字(同6600万ドルの赤字)で5四半期連続の赤字だった。USSの社名でありながら唯一、欧州事業が5500万ドルの黒字(2・8倍)で健闘しているのが実態だ。
 生産・販売面でも、高炉と電炉の各2社では対照的な結果となっている。2Qの鋼材出荷ではニューコアが15・6%増の564万7千Nトン、SDIが10・9%増の229万1千Nトンへと拡大した。
 一方、USSは0・2%減の388万7千Nトンとほぼ横ばいで、3・1%増の112万5千Nトンだった欧州事業を除くと米鋼板、鋼管事業では前年割れ。AKは自動車向けへのシフトを掲げ、流通向けの汎用鋼材を32万Nトン減らしたため14・1%減の155万5千Nトンへと落ち込んだ。
 通商措置に頼りながら、米ミル内でも電炉に比べ高炉勢の弱さが際立ちつつある。特にUSSの不振は深刻で、研究開発部門の人員削減にも手を付けるなど将来の競争力にも疑問符が投げかけられている。

最終更新:7/28(木) 6:00

鉄鋼新聞