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電力会社3社が洋上風力発電へ、秋田県のプロジェクトに共同出資

スマートジャパン 7月29日(金)13時25分配信

 風力発電の導入が活発に進む秋田県で2014年から検討が始まった秋田港・能代港の洋上風力発電プロジェクトが大きく動き出した。発電事業者の丸紅が2016年4月に設立した特別目的会社の「秋田洋上風力発電」に合計14社の出資が決まり、建設に向けた事業化調査を共同で実施する。

 秋田洋上風力発電に新たに出資する13社には、関西電力と中部電力のほか、東北電力100%出資の「東北自然エネルギー」が加わる。各社は今後の拡大が見込める洋上風力発電事業のノウハウを取得しながら、将来の事業拡大につなげる狙いだ。電力会社3社のほかに、丸紅と共同で開発プロジェクトを推進してきた大林組とエコ・パワー、さらに秋田銀行など地元の企業が出資する。

 発電事業の対象になる秋田港と能代港は日本海に面して、年間を通じて西からの強い風が吹く。2港ともに陸地から近い港湾区域内の洋上に大型風車を配置する計画だ。発電設備を海底に固定する着床式で建設する。規模が大きいのは能代港で、最大20基の設置を見込んでいる。風車1基あたり5MW(メガワット)の発電能力で最大100MWになる。

 一方の秋田港には最大で14基を設置して70MWの規模を想定している。すでに丸紅など3社は2015年8月に環境影響評価の手続きを開始した。順調に進むと2018年には手続きを完了して建設工事に着手できる見込みだ。早ければ2021年にも運転を開始できる。

年間の売電収入は137億円を見込める

 丸紅などによる現時点の計画では、最大の想定規模から少し縮小して能代港が80MW、秋田港が65MWになる予定である。合わせて145MWにのぼる洋上風力発電を事業化する見通しだ。建設に向けて環境影響評価の手続きに入った洋上風力発電の中では国内最大の規模になる。

 洋上風力発電の標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を30%として計算すると、年間の発電量は2カ所の合計で3億8000万kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して10万6000世帯分に相当する電力を供給できる。

 固定価格買取制度では洋上風力発電の買取価格が1kWhあたり36円(税抜き)に設定されている。発電した電力の全量を固定価格買取制度で売電すると、年間の収入は137億円にのぼる見込みだ。買取期間の20年間の累計では2700億円を超える。

 現在のところ秋田洋上風力発電の資本金や出資比率は明らかになっていないが、事業化調査の段階では各社が数%ずつ出資する可能性が大きい。計画どおりに事業化できた場合には、建設費だけで1000億円を上回る規模になる。

 洋上風力発電の開発は欧米諸国を中心に活発に進み、日本でも今後の拡大が期待できる。ただし日本の周辺海域は水深50メートル以上の場所が多いため、発電設備を海底に固定する着床式で建設できる場所は限られている。

 その点で陸地に近い港湾区域は着床式の洋上風力発電の対象として有望だ。全国の港湾を管轄する国土交通省によると、北海道から九州まで8カ所の港湾で洋上風力発電の開発計画が進んでいる。このうち能代港・秋田港の洋上風力発電事業は電力会社が参画した初めてのプロジェクトである。

 国土交通省は2016年5月に「港湾法」を改正して、発電事業者が港湾区域内で洋上風力発電の開発に着手しやすい制度を整備した。今後も各地の港湾に洋上風力発電が広がっていくことは確実で、電力会社を含む大手の発電事業者が参入する見通しだ。

最終更新:7月29日(金)13時25分

スマートジャパン