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マイナス金利は「退職金制度」の見直しを加速させるかも知れない

THE PAGE 8/1(月) 7:00配信

 マイナス金利で企業の退職金が大変なことになっているという話題を耳にするようになりました。わたしたちの退職金は大丈夫なのでしょうか。

退職金は積み立てた資金を運用して作られている

 企業の中には手厚い退職金の制度を完備しているところがあります。大企業のサラリーマンの中にはこうした制度をあてにして入社した人もいるかもしれません。退職金制度を持つ企業は、退職する社員のために日頃から資金を積み立てています。積み立てた資金は運用して増やしながら将来の支払いに備えているわけです。

 しかし、日銀のマイナス金利政策によって、この制度に混乱が生じています。どういうことかというと、退職給付に必要な積み立てが不足し、これが企業決算の足を引っ張っているのです。

金利が急激に下がると、企業の積立金は一気に不足

 退職給付の積み立てにいくら必要なのかについては、基本的に長期金利の利回りを元に算定されます。金利が高ければ企業は運用で資金を増やすことができますから、現時点で積み立てるお金は少額でも大丈夫です。一方、金利が低いと運用で資金を増やすことができなくなりますから、より多額の積立金を用意する必要が出てきます。

 もし金利が急激に下がるような事態になると、企業の積立金は一気に不足することになります。足りなくなった分については、退職給付金債務として負債計上し、毎年の利益の中から差し引いていかなければなりません。マイナス金利の導入でこの影響が大きくなり、企業の決算においても徐々に無視できない状況となっています。

企業が十分な利益を上げていれば問題ないが……

 一連の処理はあくまで会計上のものであり、今のところ、企業の見かけ上の利益が減少するという話に過ぎません。企業が十分な利益を上げていれば大きな問題は起きないわけです。しかし企業の業績が低迷する事態となれば、こうした退職給付の負担も無視できないレベルになってきます。また、退職給付に関する資金運用も、マイナス金利の導入によってかなり苦しい状況に追い込まれています。退職金制度を大幅に見直す企業が出てきても不思議ではないでしょう。

 そもそも退職金は法律で枠組みが定められたものではなく、慣行として続けられているにすぎません。したがって制度の内容も各社バラバラです。終身雇用を前提にした退職金の制度は徐々に時代に合わなくなっています。マイナス金利の導入は、こうした制度の見直しを加速するきっかけとなるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8/1(月) 7:00

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