ここから本文です

<オプジーボ>夢の新薬か亡国の劇薬か

まんたんウェブ 7月29日(金)15時26分配信

 これまで抗がん剤が効かなかった患者に劇的な効果を持つ、小野薬品の肺がん特効薬「オプジーボ」が人気を呼んでいる。しかし問題はその価格。年間3500万円という価格に対し「健康保険を破壊する」との批判も起きている。【経済界】

 ◇世界的潮流になった高額薬剤費批判 

 「このままでは国を滅ぼす」小野薬品が開発に成功し、2014年9月から日本で販売している全く新しいメカニズムの抗がん剤「オプジーボ」に、そんな批判が持ち上がっている。がん専門医の多くが、価格が高過ぎて日本の医療費財源を食いつぶしてしまうと口をそろえているのだ。

 海外に目を向けると、昨年来、米国の大統領選挙の過程でやり玉に挙がっているのが、ほかならぬ高額薬剤の問題である。公的保険で国が薬価を統制している日本と違い、米国では製薬企業が自由に薬剤の販売価格を決めることができる。

 この市場原理を逆手に取り、米国では特許切れとジェネリック医薬品の参入で利ザヤが薄くなり、大手メーカーが権利を手放した、安価だが治療には必須な抗エイズ薬などを買い集め、価格を大幅に釣り上げて再販売する企業が現れた。確かにこれは、ほかに供給企業がないことを見越した上での、ファンド業界的な発想で編み出された悪質な商売である。

 だが現在の米国では、オプジーボ(米国での販売元は米ブリストル・マイヤーズ スクイブ)のように、まっとうな製薬企業が多額の研究開発投資で創り出した抗がん剤に対しても「高過ぎるのではないか」という議論が持ち上がっているのだ。

 実は、この高額薬剤費の問題は自由市場の米国に限った話ではない。税金でNHS(国民健康サービス)を運営する英国も、薬剤費に対する保険償還は費用対効果評価と呼ばれる手法で制限している。独国や仏国も似たような仕組みで薬剤費や薬価そのものをコントロールしている。

 そして、保険料と公費注入ではもはや足りず、受診者の窓口負担も取り入れて国民皆保険制度を維持している日本でも、高額薬剤費の問題がにわかに注目を集めるようになった。その主人公が、オプジーボだ。

1/3ページ

最終更新:7月29日(金)15時26分

まんたんウェブ