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1万円の製造コストは20円? 額面以上の通貨は「◯円」

ZUU online 7月29日(金)17時10分配信

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを記念する硬貨第一弾として、1000円銀貨が年内にも発売されるという。材料の割合や価格などについては、まだ何も発表されていないが、販売価格は数千円との情報もある。気になるのは、そもそもお金の額面とコストは見合っているかどうかだろう。

■1円玉は作れば作るほど赤字……1円以上の価値あり

コストについては、「国民の貨幣に対する信任を維持するためや、貨幣の偽造を助長するおそれがあると考えられる」として、造幣局から正式な発表はされていない。一方で、各種硬貨に含有されている金属の種類や重さは、公表されている。市場取引価格と合わせると、1枚あたりの原料価格がおおまかに分かる。

たとえば、1円玉は重さが1グラム、100%アルミニウムで出来ている。一方、2016年7月時点のアルミニウムの相場は1キロ当たり約215円などとなっている。

1円玉以外のほかの硬貨では、銅をメインに数種類の材料で作られている。3.75グラムの5円玉は60~70%が銅で残りは亜鉛、4.5グラムの10円玉は95%が銅で残りは亜鉛とスズだ。4グラムの50円玉は75%が銅で残りがニッケル。4.8グラムの100円玉も75%が銅で残りがニッケル。重さが7グラムある500円玉は銅72%と亜鉛20%にニッケル8%が加えられている。

同じく2016年7月時点の相場価格は、銅が1キロ当たり約540円、ニッケルが約950円、亜鉛は約265円となっており、大雑把にではあるが、材料費を推計できる。

2015年の実績としては、各種硬貨の発行枚数は1円玉が約8200万枚、5円玉が約1億500万枚、10円玉が約2億300万枚となっている。50円玉が約4700万枚、100円玉が約4億1000万枚、500円玉が1億4300万枚で、合計約9億9000万枚だった。

造幣局の2015年度予算を見ると、硬貨を製造する事業にかかる支出のうち、原料費は約26億円で、各硬貨が含有する金属の相場から計算した金額と概ね一致する。さらに原料費以外の費用は約144億円なので、ちょっと乱暴だが1円玉だけはアルミ100%で手間もかからないと想定して重量比の半分程度のコスト、その他の硬貨については額面に比例したコストがかかるものと仮定して計算してみよう。

原料費込みの原価は1円玉が1.8円、5円玉は2.3円、10円玉は3.6円、50円玉は8.7円、100円玉は15.3円、500円玉が64.5円くらいになる。実際には1円玉と5円玉はもう少しコストがかかっているようだが、いずれにせよ1円玉については、作れば作るほど赤字が増えてしまうことに間違いはないようだ。

■1万円は20円……残りの9980円は日本国の信用力?

2015年の「日本銀行券」の発行枚数はトータル30億枚で、うち1万円札が15億7000万枚、5000円札が2億枚、1000円札が12億3000万枚になっている。

日本円紙幣の製造原価は、日本銀行が国立印刷局から買い上げる価格ということになる。2015年の日本銀行の決算書によれば「銀行券製造費」は517億円になっている。国立印刷局に対する過去のヒアリング結果などから、比例配分してみると、1万円札が20.0円、5000円札が19.5円、1000円札が13.3円程度になるようだ。硬貨に比べれば、紙幣のコストは額面に対して極めて低い。

■偽造防止技術は世界トップレベル

コストは低い一方で、1万円を始めとして「日本銀行券」に施された偽造防止技術は、世界トップクラスだ。日本の紙幣の流通量に対する偽札の発生割合を、外貨と比べると、ユーロは216倍、USドルが638倍、ポンドにいたっては1619倍と、日本円では極めて低い水準となっている。日本円紙幣の印刷には、紙幣を傾けると色が変化して見えるインクや選択しても破けない和紙を使用するなど、高度な偽造防止技術がいくつも施されていることが、こうした結果をもたらす最大の要因だとみられている。

ちなみに、警察庁によると、最近数年間で、日本国内で発見された偽札は年間数千枚のペースだった。

硬貨に関しても同様に高度な偽造防止の技術が使われている。たとえば、500円玉には世界初の「斜めギザ」の技術が使われている。硬貨の側面の溝を斜めに刻んだものだ。普通に使う分には、特になんの影響もないが、偽造防止という意味では高い効果があるという。ほかにも、髪の毛よりも細い溝や点を刻む「微細加工」もされており、これも最先端の技術だろう。

スイスやカナダとともに、高い偽造防止技術を評価されている日本の印刷技術の輸出は、海外の紙幣印刷向けにも積極的に試みられている。だが残念なことに、発展途上国等においては「紙幣の偽造を防止するための技術投資よりも、偽造そのものを取り締まるほうが安くつく」という理由で、なかなか受け入れて貰えないのが実情のようだ。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック記念硬貨の販売価格がいくらになるのかは、発行枚数や材料がはっきりするまではyも言えない。だが、価格に見合う以上に、日本が世界に誇る高度な技術が、応用されることは間違いないだろう。 (ZUU online編集部)

最終更新:7月29日(金)17時17分

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