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都会に疲れたら田舎においで! 長野で働くエンジニアの給与、残業時間、求人数

@IT 7月29日(金)7時10分配信

 こんにちは。「しごとのみらい」の竹内義晴です。このたび、「ITエンジニアU&Iターンの理想と現実」の「長野編」を担当することになりました。

【その他の画像】長野県の平均給与額

 実は私、「新潟編」も担当しています。といいますのも、私は1998年、28歳の時に新潟にUターンしましたが、私の住まい、妙高高原は長野県との県境にあります。

 帰郷して最初に勤めたのは長野のSIベンダーです。IT業界での経験も長野時代の方が長く、今、IT業界で付き合いのある人たちは長野の方が断然多いのです。奥さんも長野の人です。

 また、県庁所在地に行く場合、新潟市までは高速で2時間(約160キロ)ですが、長野市なら下道で40分(約30キロ)です。距離的にも、断然長野の方が近いのです。

 というわけで、長野編も担当いたします。簡単な自己紹介は新潟編「新潟編:エンジニアで飯が食えるか?――統計で見る新潟の給与、残業時間、求人数」をご覧ください。

 「長野編」では、データで見る長野のエンジニアの仕事事情や、長野に移住して頑張っているエンジニアの生の声をお届けします。エンジニア読者がこれからの働き方を考えるきっかけになればうれしいです。

●データで見る「長野」

 長野県外の方がイメージする長野はどういったものでしょうか。「野沢菜」「善光寺」「そば」「りんご」、最近だとNHKの大河ドラマの主人公「真田幸村」でしょうか。

 実際はどうなのでしょうか? データから見える長野の街を紹介しましょう。

○長野ってどんなところ?

 どんな土地にも「他に誇れる良いところ」がありますよね。そこで、長野県のランキングを調べました。

 「データで知る信州(出典:しあわせ信州―長野県観光部 信州ブランド推進室)」は、信州の良いところをたくさん紹介しています。

 代表的なものを幾つか挙げると、

 「幸福度ランキング」「平均寿命」「移住したい都道府県ランキング」などが全国第1位です。

 IT業界関連では、「情報通信機械器具出荷額」が全国第1位、「電子部品・デバイス電子回路出荷額」が全国第4位です。長野は「セイコー・エプソン」など、電気・電子・時計の名だたるメーカーがある県として有名です。

 特に諏訪地区は、情報通信機械器具のメーカーが多い地域です。長野県庁Webサイトの「諏訪地域の情報」を見てみましょう。

 諏訪地域は信州屈指の工業地域でもあります。明治期には岡谷を中心に製糸業が発達、戦後はこれに代わって精密機械工業が発展しました。豊富な水と澄んだ空気は精密機械に適しており、「東洋のスイス」として名をはせました。現在も岡谷市、諏訪市、茅野市など全域に電気機械、一般機械などの先端技術による産業が集積しています。出典:諏訪地域の情報 | 長野県 Web site 信州

○交通の便は?

 長野は「北陸新幹線」が走っています。東京まで約90分なので、コストを考えなければ東京への通勤も夢ではありません。実際、軽井沢辺りなら、東京まで新幹線通勤している人もいます。

 長野市や松本市など中心市街地の交通は、多い路線で1時間に4本程度、少ない路線で1時間に1本程度です。終電は23時ごろ。バスも似たような傾向です。利便性を考えると、基本は車で移動します。

●長野の仕事、給与、残業時間

 続いて、ITエンジニアの仕事状況を見ていきましょう。

○エンジニアの仕事はあるの?

 「ハローワークインターネットサービス」で、勤務地を「長野県」、希望する職種を「情報処理・通信技術者」として検索すると、7月26日現在で検索件数は290件、さらに、フリーワード「エンジニア」で絞ると134件ヒットしました。お隣の新潟県と比べると「1.5倍」もあります。

 さすが「情報通信機械器具出荷額1位の県」です。

○案件のクライアントは?

 会社によって異なるので一概には言えませんが、私が働いていた長野のSIベンダーは、2000年ごろで「首都圏の案件が3割、長野の案件が7割」ぐらいでした。年を追うごとに、首都圏の案件の比重が増えていったように記憶しています。

 私は首都圏の仕事を多くしていました。一括案件で、開発は長野で行い、納品時は東京、埼玉、千葉などで1~2カ月ホテル暮らしをした経験や、常駐案件で、ウイークリーマンションに住みながら、東京の客先で1年間常駐してシステム開発をした経験もあります。席は長野にありましたが、長野にはいない時間も多くありました。

 地方に住む私にとって、首都圏の仕事は環境的にも、技術的にも楽しく、刺激的でした。一方、長野への移住が目的の人にとっては、出張ばかりで「せっかく移住したのに……」と感じるかもしれません。働く場所が気になる人は、長野で職場を探す際に「どのような案件やクライアントが多いか」を事前に問い合わせたり、面談で質問したりするといいでしょう。

 長野に腰を据えて働きたければ、地元企業の情報システム部などを転職先に選ぶといいかもしれません。また、行政機関のシステムに携わっている会社は、地元密着の印象があります。全国的に著名でなくても、地元密着型の企業はたくさんあるので、調べてみるといいでしょう。

○残業時間は?

 「総務省 統計局」発表の「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、超過実労働時間数は、全国平均が「13時間」、東京が「12時間」、長野は「13時間」でした。

 また、「ハッピー残業日本地図(出典:はたグラ)」によると、「残業時間が短く、時給が高い県」で長野は9位です。

 私の経験では、IT業界の仕事は納品前やトラブル発生時の残業が多いし、仕事が首都圏の案件の場合は「長野だから残業が少ない」というわけではありませんでした。

○給与は?

 残業が首都圏と同じなら、給与も同じぐらいなのでしょうか? 長野県が発表した平成27年の「毎月勤労統計調査」を見てみましょう。

 長野県の平均現金給与総額は「30万2799円」、産業を「情報通信業」に限ると「36万2845円」でした。

 全国平均では、平均現金給与総額が「31万4089円」、情報通信業平均が「48万4026円」。東京都は、平均現金給与総額が「40万6806円」、情報通信業平均が「50万0888円」でした。

 東京の50万円超えと比べると、だいぶ見劣りがしますが、長野は、家賃など生活に掛かるコストが首都圏よりも安いし、食べ物は自分で作っている人もいます。私も米と野菜を作っており、旬の季節は食べきれないほどの収穫があります。一概に「長野残念!」とはいえないのではないでしょうか。

●「長野で働く」ということ

 冒頭で書きましたように、私は新潟の中山間地に住んでいます。Uターン当初は新潟で転職先を探しましたが、「これ!」というところが見つけられませんでした。

 そして長野市で、何件かの転職候補が見つかりました。

 私が転職先を探した1998年当時は、今ほどインターネットの情報がありませんでした。今ならインターネットの情報や転職サイトがたくさんあります。中心市街地なら、仕事選びに困ることはそれほどないでしょう(年齢や経験による差はあります)。

 また、地方の場合、道路が混雑していないので、車で1時間走ると下道でも40キロほど移動できます。通勤時間だけで考えれば、中心市街地から多少離れていても通勤圏内になるので、「暮らしは自然が豊かなところで、仕事は中心市街地で……」といった選択肢もあります。

 実際、首都圏から移住した私の知人は、家は長野の森の中に建てて、仕事は街中で……という暮らし方をしています。都会に疲れたら、自然豊かな長野で働くという選択肢もいいのでは?

○「長野で暮らす」の現実

 一方、頭に入れておきたいのが、長野の自然環境です。

 長野は大きく分けると、長野市をはじめとした「北信」、上田市をはじめとした「東信」、松本市をはじめとした「中信」、飯田市をはじめとした「南信」の4つのエリアに分けられます。

 北信は雪が多く、それ以外の地域は雪はそれほど積もりませんが寒いです。

 暖房光熱費も考慮した方がよいポイントです。アパートやマンションならば首都圏とそれほど変わりませんが、一戸建ての場合は、「灯油代だけで月2万円」など、想像以上に暖房光熱費が掛かります。

 「自然が豊か」ということは、同時に、「自然の厳しさ」にも触れることでもあります。特に長野では、雪や寒さは頭に入れておきたいところです。

 もっとも、豊かさと厳しさは表と裏です。それらをトータルで考えたときに幸福だと感じる人が多いから、長野は「幸福度ランキング」が高いのではないでしょうか。

●長野で働くことで「何を得たいのか」を考えよう

 各種データを基に長野の基礎情報や、エンジニアの仕事事情をみてきました。

 通常の就職や転職の場合、仕事を選ぶポイントは「仕事内容」や「給与」だと思います。

 一方、U&Iターンの場合は、「生活」「雰囲気」「人情」「気候」「風習」「店」「観光地」「首都圏アクセス」「アクティビティー」など、それ以外の理由も大きなウエイトを占める場合が多いでしょう。

 長野で働くなら、仕事内容や給与に加えて「何が得たいのか」「何が得られると今までより満足できそうか」をよく考えてみるとよいでしょう。

 「U&Iターンの理想と現実:長野編」、次回は長野に移住して働いているエンジニアのインタビューです。どうぞ、お楽しみに!

●@IT式 U&Iターンスタイル

全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えます。Uターン、Iターン、Jターンに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

●筆者プロフィール しごとのみらい理事長 竹内義晴:「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。著書「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。

最終更新:7月29日(金)7時10分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。[new]