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「クリントン大統領」実現への課題 「米国vs.トランプ」の構図つくれるか

THE PAGE 7月29日(金)20時15分配信

 女性初の米大統領を目指すヒラリー・クリントン前国務長官は、現地時間28日の民主党全国大会で大統領候補の指名受諾演説を行い、「我々は一緒なら強くなれる」と団結を呼びかけました。クリントン氏と「アメリカ第一主義」を掲げる共和党候補のドナルド・トランプ氏の対決の構図になった大統領選。民主党大会から何が見えたか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に寄稿してもらいました。

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民主党大会を振り返る

 登壇者の顔ぶれ、党内結束の演出、演説の内容の全てにおいて共和党大会よりも完成度は格段に高かった。同時に、4日間の党大会を通してヒラリー・クリントン氏の今後の課題と戦略、そして今後の選挙戦の構図がかなり浮き彫りになった。

(1)「希望vs.恐怖」

 米大統領選はしばしば「希望の選挙」と称される。米国の理念や夢を再確認し、前向きで明るいメッセージを掲げるのが定番だからである。「4年に1度のお祭り」とも言われる所以だ。その点、米国民の不満・不安・憤りを前面に押し出した共和党大会は異例で、「恐怖の選挙」とでも称すべき内容だった。

 通常は「希望」を自らの側につけた党が勝利する。しかし、「希望」という言葉が白々しく聞こえるほど、今の米国は閉塞感を深めている。異端候補のバーニー・サンダース氏(民主党)やドナルド・トランプ氏(共和党)が旋風を巻き起こしたのはそのためだ。

 加えて、同一政党が3期連続してホワイトハウスの座にあったのは、第二次世界大戦後は1度だけ(ロナルド・レーガン大統領からジョージ・ブッシュ副大統領へと共和党政権の移譲に成功した1988年の大統領選)。8年間も政権の座にあるとどうしても「希望」は色褪せる。ましてや4半世紀上、中央政界の中心にいたクリントン氏の語る「希望」はどうしても精彩に欠ける。

 民主党の基本戦略の1つが「恐怖」ではなく「希望」に訴えることは明らかだが、ハードルは相当高い。トランプ陣営としては「では、なぜ今の米国の窮状や危機があるのか」と切り返すことが可能だ。

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最終更新:8月31日(水)17時39分

THE PAGE