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日銀の追加緩和は事実上の見送り 理由不明で市場の失望を買う恐れも

THE PAGE 7月29日(金)20時0分配信

 日銀は29日に行われた金融政策決定会合において、ETF(上場投資信託)の買い入れ増額を決定しました。予想されていた国債の追加購入やマイナス金利の拡大は行われません。

日銀が追加金融緩和 黒田総裁「マイナス金利や量的拡大は限界ではない」

追加緩和は事実上の見送り

 このところ日銀の量的緩和策の効果について疑問視する声が高まっていました。量的緩和策がスタートした当初、消費者物価指数(「生鮮食品を除く総合(コア指数)」)はプラスに転じ、消費税が8%に増税された直後の2014年5月にはプラス1.4%(消費税の影響除く)まで上昇しました。

 日銀が掲げていた2%の物価目標達成も容易かと思われましたが、その後、物価の伸びは急激に鈍化していきます。最近では物価がマイナスとなる月も増えてくるようになり、6月には何と0.5%のマイナスを記録しました。また、英国のEU離脱など世界経済に対する不透明感が高まっており、消去法的に円が買われやすい地合いになっています。

 こうした状況を受け、市場関係者のほとんどは、今回の金融政策決定会合で日銀が追加緩和に踏み切ると予想していました。しかしフタを開けてみると、現在3.3兆円となっているETFの買い入れ枠を6兆円に増やす以外に大きな変更はありませんでした。年間80兆円の国債購入枠はそのまま維持され、マイナス金利幅も変わっていません。ETFの購入は基本的には株価の下支えにしかなりませんから、事実上、追加緩和を見送ったと判断してよいでしょう。

「総合的な検証」は市場の失望を買う恐れも

 ただ、今回こうした結論に至った明確な理由ははっきりしません。というのも、日銀は次回の金融政策決定会合において「物価動向や政策の効果について総合的な検証を行う」方針であることを明らかにしたからです。

 黒田総裁は具体的な内容について言及していませんので、検証の結果どのような結論が得られるのか分かりません。市場では、追加緩和のことを意味している、あるいは物価目標の撤廃もしくは基準の変更を意図しているなど、様々な憶測が飛び交っています。

 市場との対話という点で考えると、こうした思わせぶりな表現はあまり望ましいことではないでしょう。最終的に出てきた内容が陳腐だった場合、市場の失望を買う可能性が高いからです。時間稼ぎをしていると市場から認識されるリスクもあり、そうなってしまうと中央銀行が持つパワーを自ら低下させる結果につながってしまいます。

 黒田総裁はこれまで市場の先を行く形でサプライズを演出してきましたが、今回の決定では、逆に市場に振り回されてしまったようです。名実ともに日銀の量的緩和策は岐路に立たされているのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7月29日(金)20時0分

THE PAGE

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