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庵野秀明の“リスペクト”と“エヴァみ”に溢れた『シン・ゴジラ』

dmenu映画 7月29日(金)21時0分配信

『シン・ゴジラ』は岡本喜八監督へのオマージュ

“もし現代の日本に怪獣が現れたら国家はどう対処するか……”。
庵野秀明総監督による『シン・ゴジラ』は、それをシミュレーションしたSFポリティカル映画の側面と、怪獣映画としての崩壊スペクタクルを両立させるべく腐心した意欲作に仕上がっている。

特に怪獣が現れてからの国の右往左往ぶりは、庵野総監督がリスペクトしてやまない岡本喜八監督の代表作『日本のいちばん長い日』(67)へのオマージュであり、現代的発展形として非常にユニークに映える。劇中、とある重要人物として岡本監督の写真を登場させるあたり、何ともマニアックなはからいにニンマリしてしまった。

『日本のいちばん長い日』は、太平洋戦争終戦時、ポツダム宣言受け入れの決定から玉音放送に至るまでの軍部や政府要人らの行動を追った作品だ。昨年原田眞人監督でリメイクされ話題になった。 なるほど、第1作『ゴジラ』(54)において、海の向こうからやってきて首都東京を破壊しつくすゴジラは、太平洋戦争に対する怨念を象徴するような一面もある。第1作『ゴジラ』と岡本喜八監督を愛する庵野総監督が、『シン・ゴジラ』を“ゴジラのいちばん長い日”としての組み立てたとしても何の違和感もない。

また今回は、従来のゴジラ映画をすべてリセットし、全く新しい世界観のもとでゴジラを登場させたことも注目に値する。それでもやはり第1作『ゴジラ』に対する敬意は並々ならぬものがあり、ゴジラがどこにどう現れるか、また劇中で登場する回数など、その多くが第1作に準じて構成されているあたり、マニアには実に嬉しいところだ。もし第1作をまだご覧になられていない方なら、ぜひ予習してから映画館へ足を運んでみることをお勧めしたい。

『シン・ゴジラ』に映るエヴァの影響

ゴジラそのものの設定に関しては、直接劇場の銀幕で目撃していただきたい。これに関しては賛否もあることだろう。もっとも、この設定により、敵怪獣を出すことなく怪獣映画としての華々しさや今後の可能性などを巧みに具現化できているように思えてならず、私自身は大いに魅力的に感じた。

ネタバレになるので詳細は伏すが、今回のゴジラは時折、汎用人型決戦兵器・エヴァンゲリオンのような雰囲気まで醸し出してくれている。ゴジラ映画にエヴァ的要素を相性よく組入れ可能なことは、『ゴジラ×メカゴジラ』(02)で証明済みだ。そこでは、ゴジラの遺伝子が組み込まれた対ゴジラ兵器・メカゴジラがエヴァンゲリオン初号機のように暴走し、人間の思惑を超えた兵器の恐怖が描かれていた。しかし、さすがに本家本元。エヴァのクリエイターたる庵野総監督らが繰り出すゴジラの、エヴァ的神々しさの発露は実に美しく、それを見るだけでも本作は一見に値する。

人間側のドラマも、生身の人間が演じることでアニメーションとは確実に異なる“何か”が生じている。300人を優に超すキャストの中、まずは政府の面々の個性的ツラ構えが素晴らしい(まさか大杉漣が総理大臣を演じる時代が訪れようとは夢にも思っていなかった! 後半登場する平泉成も好演)。対策チームのキャスティングでは塚本晋也の存在感が抜群。さすがは本職が映画監督だけあって、自分がその場にいることのリアリティを肌で熟知しながら佇んでいるかのような説得力に満ち溢れていた。

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最終更新:7月29日(金)21時0分

dmenu映画

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。