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リニア大阪開業、政府支援で8年前倒し ルート問題解決へ一刻も早く“オール関西”で結束を!

日刊工業新聞電子版 7月29日(金)21時0分配信

都市間でルート争いしている場合ではない

 リニア中央新幹線の全線開業が、当初計画の2045年から最大8年前倒しされる見通しとなった。JR東海に対し、国が経済対策の中で財政投融資などの資金支援を実施するもの。27年に先行開業する品川―名古屋間に対し、大阪延伸が18年間も後になるのでは地盤沈下を招くという関西経済の懸念は、やや和らいだ格好だ。だがルートを巡る奈良、京都の争いなどの問題は残っている。一刻も早い開業に向けて“オール関西”の結束が求められる。

 リニア中央新幹線は全線をJR東海が自己資金で整備する。当初、同社は品川―名古屋間を先行開業し、後から名古屋―大阪間の建設に取りかかるとしていた。早期の全線開業を望む政府が3兆円の資金を支援し、これを前倒しする。

 名古屋―大阪間のルートは、これまでの国の基本計画や整備計画で「奈良市付近」を通ることが盛り込まれている。これに対し京都府・市や京都財界は、京都市内あるいは府南部の関西学術文化研究都市を通るよう要望。奈良との誘致合戦を繰り広げている。JR東海は政府の資金支援方針が出た後も、当初の奈良を通るルートを翻す考えがないことを表明した。

 関西政財界のまとまりの悪さは以前から指摘されてきた。京都、大阪、神戸の3政令指定市はじめ、一定の人口と産業規模、歴史と文化をもつ都市が集中している。各都市の言い分は対立することが多く、狭い地域に関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港が並立することになった事例が象徴的だ。

■首都圏と名古屋圏を結ぶ広域経済圏
 一方で家電関連産業の衰退や本社機能を首都圏に移す企業の続出など、関西経済の地盤沈下には歯止めがかからない。リニアの名古屋―大阪間の開業が遅くなるほど首都圏と名古屋圏を結ぶ広域経済圏の形成が進む。これが関西にとっては致命傷になりかねない。

 関西の政財界が望むリニア全線同時開業は、もはや非現実的だ。大阪延伸を少しでも早めるためには関西全体の結束が必要となる。都市間の争いを続けている時間的余裕はない。

最終更新:7月29日(金)21時0分

日刊工業新聞電子版