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調整局面に入った富士重の航空機事業。雌伏の時に打つ一手とは

ニュースイッチ 7月29日(金)8時29分配信

「777Xへの移行期は歯を食いしばるしかない。787で埋められるのが理想」

 富士重工業の航空宇宙事業が調整局面に入った。円高基調の為替や主力の民間航空機向け中央翼が新シリーズに移行することなどを受け、今期の営業利益が前期の182億円から半減する見通しだ。苦境からの脱出に向けて、次の一手をどう打つのか。永野尚専務執行役員航空宇宙カンパニープレジデントに聞いた。


 ―中央翼は米ボーイング向けが多く、航空宇宙事業の為替感応度は非常に高いと言えます。
 「足元は若干円高に振れているが、これまでの取り組みもあるので冷静にやっていける水準だ。かつての超円高で相当鍛えられた。ただ、為替変動はいかんともしがたいので、自動車で培ったノウハウも活用し生産性向上をさらに加速する」

 ―生産性改善に向けた取り組みは。
 「当社が受け持つ中央翼は箱型の構造物で、ロボットの適用は難しい。内部の鋲打ちなどは人の作業になる。ただできることはたくさんある。例えばリベットやボルトを打つ工具の自動化。任意の場所に工具をセットすれば、自動で打ち込めるツールなどを導入した」

 ―ボーイング「787」の増産対応は。
 「787は現在、月産10機体制だが、1年以内で12機に上がる。さらに1年から1年半くらいで14機に達すると見ているが、ボーイングから具体的な指示を待っている状態だ。787向けの投資は完了しており、14機になっても対応できる」

 ―ボーイングのベストセラー機「777」の次世代機「777X」の量産も控えていますが課題をどう見ていますか。
 「777から777Xに移行するところで踊り場となるが、これが航空機のビジネスモデルだ。生産レートが緩やかに上がる過程で777が下がり、どうしても需要の谷間となる。この期間は歯を食いしばるしかない。ここを787で埋められるのが理想だ」

 ―研究開発の状況は。
 「宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、『落ちない飛行機』というコンセプトで共同開発を行っている。鳥の衝突などで主翼の一部が破損しても、人工知能(AI)搭載のフライトコンピューターが状況を瞬時に把握し、自動制御する技術だ。当社の無人機のノウハウを有人機に融合し、安全性のさらなる向上に貢献したい」

 ―国産小型ジェット旅客機「MRJ」開発の意義をどう考えますか。
 「完成機をやり遂げるという志を持った三菱重工業グループには、本当にがんばってもらいたい。MRJの後も完成機を国家的事業でやることは、工業先進国として必要だ。当社単独での旅客機開発は無理だが、オールジャパンで開発する可能性もあるので、技術レベルの向上など準備はしていきたい」

【記者の目・日本の航空機産業に貢献を】
 業績の停滞期に次代を見据えた投資や開発をいかに進められるかが、反転攻勢のカギを握る。今期は777X向け機体部品製造の投資ピークに達するが、人工知能(AI)を活用したフライトシステムなど技術開発にも力を入れる。円高や新機種の切り替え時期を迎える今期は前期比で営業利益の半減を予想する。端境期は航空機ビジネスで避けて通れない道。生産性向上による。利益率改善で難局を打開する。自動車を主力とする富士重においてコスト削減はお家芸だ。永野専務も「自動車と航空機は共通する部分も多い」と話す。自動車で培ったコストミニマムの手法は大きな武器となるに違いない。次代に向けた技術開発への手綱を緩めず、日本の航空機産業に貢献してほしい。
(聞き手=長塚崇寛)

最終更新:7月29日(金)8時29分

ニュースイッチ

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