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珠洲海底から10世紀の須恵器 底引き網で発見

北國新聞社 7月29日(金)3時16分配信

 珠洲市禄剛埼(ろっこうざき)灯台の北東約20キロの海底で6月、10世紀(平安前期)ごろの作とみられる小さなかめの須恵器が見つかったことが、同市の珠洲焼資料館の調べで分かった。底引き網漁の最中に網に入っていた。10世紀は須恵器の使用が全国的には減る中で、新潟県佐渡島では製造が全盛期となった時期にあたり、関係者は、珠洲と佐渡の交易を示す貴重な史料とみている。

 須恵器のかめは、高さ25センチ、直径は最大で22・5センチ、口の直径は14センチあり、水深約500メートルの海底に埋まっていて、損傷はなかった。板でたたいて成形した際にできる、目の粗い「たたき目」と呼ばれる文様が残っており、新潟県佐渡市にある同県史跡「小泊須恵器窯跡群」で10世紀ごろに作られた須恵器と特徴が似ているという。

 須恵器は6月27日未明、珠洲市の漁師新谷武さん(37)が船長を務める「新栄丸」が引き上げた。船主である父の栄作さん(66)が同28日、資料館に届けた。

 栄作さんも過去に、この海域で須恵器や藩政期の陶磁器などを多く見つけた。同館はこの海域が、佐渡や珠洲を出発した帆船が風を受けて方向転換するポイント「八方馳(はっぽうはせ)」で、荒天時は積み荷が捨てられたのではないかと推測している。

 資料館の平田天秋館長は「須恵器の最後の隆盛を知り、珠洲と佐渡の交易を解明する手掛かりになる。よくぞ残っていてくれた」と語り、佐渡から珠洲へ直線的に航行する航路が、10世紀に確立されていた可能性もあるとみて、今後、佐渡市と協力して調査する。

北國新聞社

最終更新:7月29日(金)3時16分

北國新聞社