ここから本文です

トリドール「丸亀製麺」が愛される理由 なぜ、外食不振の時代でも業績好調なのか?

ZUU online 7/30(土) 10:10配信

セルフ式讃岐うどん店「丸亀製麺」をチェーン展開するトリドール <3397> の業績が好調だ。2016年3月期決算は、売上高955億8700万円(前年同期比9.5%増)、営業利益87億3300万円(109.2%増)、税引前利益81億1700万円(124.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は52億1200万円(163.0%増)となった。

外食チェーン不況と呼ばれる時代に、圧倒的な成長を遂げているトリドール。その秘密に迫ってみよう。

■トリドール株は丸亀製麺の好調を背景に75%上昇

トリドールは主力の丸亀製麺の店舗数が2016年3月末で775店まで拡大している。丸亀製麺の売上高は824億円とトリドールの86%、利益でトリドールの94%を占めるまさに大黒柱だ。丸亀製麺以外の形態は、焼き鳥の「とりどーる」、ラーメンの「丸醤屋」、焼きそばの「長田本庄軒」などがある。

好決算と既存店の好調を受けて株価も堅調だ。5月12日の前期決算発表以来買いを集めていたが、7月5日に発表された6月の既存店売り上げが8.7%増とのリリースを好感し、7月8日には3300円と上場来高値を更新している。5月6日安値の1890円からは75%の上昇だ。

外食や小売業界を見るのに一番便利な指標が、(新規出店分の売上を含まない)既存店の売上動向だ。既存店動向はHPで閲覧できるが、トリドールの2016年3月期通期の既存店売上は6.4%増だった。外食不況が叫ばれる業界にあって比較的高い伸びだ。

今年度に入っても、既存店は4月0.9%増、5月5.3%増、6月8.7%増と好調をキープしており、6月の伸びは特に高くなっている。

■丸亀製麺は「デフレの勝ち組」でもある

日本フードサービス協会が2016年6月27日付で発表した2016年5月の外食産業売上は、前年同月比0.6%増。小幅ながらもプラスが6カ月連続となっている。プラスを牽引しているのはファーストフードだ。ファーストフードは4.6%増とマクドナルドの回復が牽引し高い伸びとなった。

一方で、昨年まで3年近く順調に推移していたファミリーレストランが2.0%減と2016年3月に続き今年2回目の前年同月比でのマイナスとなった。さらに悪いのは、パブ/居酒屋で12.7%減となっている。

日本は、1991年以降バブルの崩壊で「失われた20年」と呼ばれる長期デフレ局面に入っていた。その間、ファミリーレストラン売り上げは減少傾向で、ハンバーガーや牛丼といったファーストフードのみが堅調だった。2013年からのアベノミクスによる景気拡大で、逆にファーストフードの売上が落ち込み、レストランが回復するトレンドになっていたが、2015年後半以降、特に2016年を迎えてからは、再びデフレ色の強いファーストフードが堅調になっている。

丸亀製麺は、ファミリーレストランとファーストフードの間に位置しており、デフレメリットを享受している。ただ、丸亀製麺の抜群に高い伸びは、それ以外にもリピーターを引きつける「何か」があるに違いない。

■人気の背景には、手作りへのこだわりも

丸亀製麺は、セルフ式讃岐うどん店でありながら、香川県発祥でなく関西(兵庫)の企業だ。すでにうどん店としては日本一になっているが、トリドール自体は1995年に焼き鳥チェーン店で設立した企業である。2000年に始めた丸亀製麺が大成功し売上も1000億円に達しようという大企業に成長した。

丸亀製麺に行ったことがある人なら賛同してもらえると思うが、うどんの命である麺のコシがあって旨い。

通常、うどんのチェーン店では、乾麺を茹でるか、もしくは冷凍麺を茹でるかのどちらかだが、丸亀製麺は讃岐うどんで有名な香川県の製麺機を自社店舗に1台ずつ設置しており「打ちたて」「茹でたて」「作りたて」を提供している。

通常、店舗数が増えたチェーン店であれば、セントラルキッチンを導入して調理の効率化をはかるのが定石とされているが、丸亀製麺は店内でうどんを打ち、天ぷらを揚げ、おむすびを握ることにこだわることで、関西発ながらも香川の老舗感を打ち出している。

なによりも安い。釜揚げうどんの並盛りは290円。ぶっかけうどんの並盛りも290円だ。コンビニランチと比べても割安感があるのではないだろうか?

安いと言っても、揚げたての天ぷらなどのトッピングで客単価を上げるようにしており、客単価は平均500円程度のようだ。冷たくさめた天ぷらや工場で作られたビニールに入ったおむすびではなく、その場で出来たての味を提供することでトッピングも注文しやすいように工夫している。

■6月成功の陰に「神アプリ」の存在

6月の既存店売り上げ増には公式アプリのリニューアル効果があったと言われている。6月2日にリニューアルした公式アプリは、初回ダウンロード特典としてクーポン券を配信した。釜揚げうどん290円が140円と半額以下、鶏のかしわ天や大根おろしは60円、さらにお揚げが自慢の手作りいなりは、なんと無料で食べられるクーポンだ。ネット上で「強すぎる」クーポン、神アプリと拡散されたようだ。

現在もHPでチェックした限りでは初回ダウンロード特典は継続している。iPhoneでもアンドロイドでも大丈夫だ。

■グローバルに展開する丸亀製麺

海外でラーメンブームといわれているが、うどんも外国人は大好きだ。

丸亀製麺ワイキキ店は常にオープン前から行列だとか。なんと国内外で900店近い店舗の中で、丸亀製麺でもっとも売上が多いのがワイキキ店。2011年4月オープンした同店舗を利用する日本人はせいぜい1~2割に過ぎないことを考えると、外国人に圧倒的な評価を得ていると考えて良いだろう。

海外店舗は中国42店舗、インドネシア26店舗、台湾19店舗、韓国11店舗、香港9店舗などの12カ国・147店舗まで膨らんでいる。

2016年3月期の海外事業は、売上は62億5500万円(前期比55.2%増)、セグメント利益は4億3600万円(前年度は損失6億2000万円)と大幅増収、黒字転換となった。

ともあれ、丸亀製麺が世界のどこに行っても食べられるなんてとても楽しみだ。今日の昼はクーポンを持って近くの丸亀製麺へ出かけてみてはいかがだろうか?

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/10(月) 18:35

ZUU online

チャート

トリドールホールディングス3397
2372円、前日比-31円 - 12/8(木) 15:00

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。