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アーティストが「インデペンデンス・デイ」新作を観に行ったが、やっぱり感想は怒りぎみ……【みんなの映画部】

M-ON!Press(エムオンプレス) 7月30日(土)19時25分配信

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回はド直球ハリウッドSF大作「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」。参加部員が小出部長+女性ふたりということで、イベント感を出そうと「4DX」上映を選んだのですが、これが完全に裏目に出ました……。

4DXを体験した「みんなの映画部」メンバーはこちら

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活動第27回[前編]「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、世武裕子

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■4DXの過剰なギミックに心身ヤラれちゃった

──疲労の色が激しい状態になりました(笑)今回の「みんなの映画部」。SFパニック大作の20年ぶりの続編「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を観てきました。今回のゲストは第25回に続き2回目、朝ドラの劇伴を担当することになった作曲家の世武裕子さんです。

小出 朝ドラ女優の(笑)。

世武 女優じゃないっつうの(笑)。

福岡 近江が生んだ……

世武 近江が生んだ朝ドラ女優です(笑)。もうね、みんな疲れてるからなんでもいいっていう。

福岡 映画部、初の4DXでヘトヘトでーす。

──なぜ疲れ気味なのかを含めて部長からまずはひと言お願いします。

小出 いや~、もうね、4DXの過剰なギミックに心身ヤラれちゃいましたね…。。あと今日はたまたま低気圧がひどくて、観ているうちにだんだんテンションが下がっていって。あとシートもね、形状があまり体にしっくりこなくて。首にフィットしない作り。

世武 横を向いていたら1回ガーンって衝撃がきたときに変なところ打たなかった?

福岡 打った打った! なんか肩パンみたいなのされた(笑)。

世武 肩パンやばい(笑)。

小出 あと水がプシューとか風がプシューとか、普通にムカついてずっと吹き出し口を押さえてた(笑)。

福岡 私、終わったらスッピンになってるんちゃうかと思ってヒヤヒヤしました(笑)。

世武 女子は大変。ファンデーション落ちますよ。

──まだ映画の内容にぜんぜん触れてませんね(笑)。

小出 映画的にもですね、これは日本人には合わないんじゃないかなと。

福岡・世武 あははは!

──ばっさり(笑)。



■「それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」(モロボシ・ダン)

小出 「インデペンデンス・デイ」の1作目もそうだったんだけど、やっぱりアメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人のための映画っていう感じで…。そういう趣旨の映画なんです! と言ってしまえばそれまでなんですけど、どうも自分の国民性に合わないなぁというか。僕は特撮でいうと円谷や東宝、ウルトラマンやゴジラで育ってますからより、ね。

世武 合わないってどういう感じなの?

小出 1作目のいちばん飲み込めない点はね、まず、宇宙からの侵略がありました。それに対抗して戦いました。結果、撃退しました。で「我々の勝利だ!! イエーイ!!」って盛り上がった。ハッピーエンドですよ。一瞬だけ和平の道を探しはするんだけど、“地球の平和”というのを盾に、まぁ、結局侵略に侵略で返す、と。

円谷で育った僕は……「ウルトラセブン」でそういう話があるんですよ。「超兵器R1号」っていう。水爆の8000倍のエネルギーを持つ爆弾を作りました。あとはもう侵略者が来るのをボタンに指をかけて待ってればいいよね、と。侵略に対しての決定的な抑止力ができたぞ! とみんな盛り上がって。

世武 うん、うん。

小出 でも、主人公モロボシ・ダンが先輩のフルハシに向かって良いことを言うんです。「本当にこれ(超兵器R1号)を使うんですか? そんなことをしたら侵略者はこれよりも強い兵器を作ってきますよ」と。

そうしたらフルハシは「じゃあそれよりも強い兵器を作ればいいじゃないか!」と返すんだけど、モロボシ・ダンは「それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」って。

福岡・世武 おおーーっ!

小出 30分のドラマだけど、そのなかでこの名言が何度もリフレインするんですよ。それで最後には「超兵器開発はやめよう」とはなるんだけど、ダンが見つめる先に小動物のケージがあって、その中ではリスがくるくる回って走り続けているシーンで終わる。

福岡 終わることのない悲しいマラソンの図やね。



■今回はまず冒頭で「バカじゃねぇの!?」って思った

──小出少年はそれを観て育ったと。

小出 はい。だから「インデペンデンス・デイ」の地球ナショナリズムはね……。力には力を! で、倒した! ヤッター! ハッピー! 勝利をもぎ取ったぜ! でもそれ、本当にハッピーなの? 勝ちはしたけど、そこに後味の悪さみたいなのはないの? って。「バカなの?」ってなりますよね(笑)。

世武 あはは。

小出 今回はもう冒頭から「バカじゃねぇの!?」って思ったよ(笑)。第1作の世界観をそのまま引き継いで、最後までまた同じような話に終始していたしね。

そもそも、タイトルの「インデペンデンス・デイ」は、『人類が史上初めてひとつになった記念すべき日』っていう劇中の大統領の演説に由来するわけですけど、僕は、この映画から学ぶことがあるとすれば、そういう共通の敵がいなければひとつになれない人類こそ恥ずべきだと思うんですよ。

福岡 今の金言です。

世武 うん、本当にそうじゃんね。

小出 みんながひとつにならなきゃいけないことなんてゴロゴロ転がっているのに、どこかに敵を見つけないとひとつになれない。「あいつが嫌い」とか「やっちまえ!」っていうところで初めて一致団結する。それは個人単位でも国単位でもそうですよね。

で、この作品は宇宙単位の話だけど、この作品の展開のように地球をひとつの国だと考えれば結局同じことをしてるだけじゃないか、と。人類がその愚かしさに気が付かず、敵をやっつけたことでハッピーエンドとするならば、いつまでたっても本質的な平和は彼岸の話ですよ。

映画としてのカタルシス以前に、根っこの部分で「うーん」となってしまうんですよね。

TEXT BY 森 直人

[後編](7月31日配信予定)につづく

最終更新:7月30日(土)19時25分

M-ON!Press(エムオンプレス)

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。