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正社員採用のはずが、試用期間後「契約社員」として更新3回…そんなのアリ?

弁護士ドットコム 7月30日(土)10時30分配信

試用期間の後に契約社員として3回も更新され、正社員になれずーー。そんな境遇を嘆く新入社員の悩みが、ネットの掲示板に投稿された。

投稿者は、正社員として応募して、半年前に中途採用で入社。上司から「最初の3ヶ月は試用期間だ」と言われ、約束の期間が経過した。しかし、実務能力が足りないことなどを理由に、契約社員の更新を繰り返されているそうだ。投稿者は「能力低いけど使えないことはないからとりあえず契約社員として置いておこうみたいな感じがするんだよ」と語っている。

入社の時点で、正社員になる合意があったのかどうかは不明だが、もし正社員として採用すると合意して入社したのにもかかわらず、実際は契約社員として扱われてしまった場合、どんな法的問題があるのだろうか。竹花元弁護士に聞いた。

●「使用者側の事情で一方的に契約社員として扱うことはできない」

「正社員として採用すると合意した時点で、『内定』にいたっていると考えられます。内定が成立した時点で労働契約が成立します。

内定は、法的には『始期付解約権留保付労働契約』と考えられています。これは、『契約の効力が発生する時期が定められていて、かつ、その時期までは契約を解約する権利を留保している』という状態です」

竹花弁護士はこのように述べる。そうした留保がついているということは、雇った側が後から契約社員として扱うことも、問題ないということだろうか。

「そうではありません。内定時に『正社員として採用する』と合意していたのであれば、正社員としての労働契約が成立しているため、使用者側の事情で一方的に契約社員として扱うことは原則としてできません」

なぜだろうか。

「正社員から契約社員への転換は法的にみると、(1)正社員としての労働契約の終了、(2)契約社員としての労働契約の締結という、2つに分析できます。

(1)を使用者の一方的意思表示で行うことは、『解雇』にあたりますが、解雇は労働契約法16条により厳しい制限が課せられています。また、内定を使用者の一方的意思表示で取り消す『内定取り消し』の場合であっても、同様に労働契約法16条が適用されます。

相談のケースでは早めに『話が違う』ということを伝えて、約束どおりに正社員として扱うように求めるべきでしょう」

●実際に争いとなった場合は?

使用者側が応じない場合、そのような話をすることが難しい場合どうすればいいのか。

「法的には、正社員と契約社員で賃金が異なるのであれば、差額分の賃金を請求することができます。

また、契約社員の期間満了により『雇い止め』をされた場合には、正社員であることを前提に労働契約上の地位の確認を求めることができると考えられます」

法的にはそうだったとしても、実際に裁判で争われた場合など、認められる可能性はあるのか。

「正社員として採用されたことを前提にこのような請求を行った場合、『採用を合意した時点で正社員として雇うと約束したのか』という『事実のレベル』での争いになる可能性が高いと思われます。

使用者は、本来であれば内定の時点で内定通知書等において契約内容を明示するべきなのですが、そのような書面が残っていない場合は、メールや会話の録音などの合意に至る前後のやりとりの記録から、自分が正社員として採用されたことが裏付けれるようにしておくことが肝要です」



【取材協力弁護士】
竹花 元(たけはな・はじめ)弁護士
2009年の弁護士登録と同時にロア・ユナイテッド法律事務所入所。2016年2月に同事務所から独立し、法律事務所アルシエンのパートナー就任。労働法関連の事案を企業側・個人側を問わず扱い、交渉・訴訟・労働審判・団体交渉の経験多数。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7月30日(土)10時30分

弁護士ドットコム

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