ここから本文です

内戦のシリアでポケモンGOをしたら 難民アーティストが重ねた日常と死

BuzzFeed Japan 7月30日(土)6時0分配信

5年に及ぶ内戦で傷つくシリア。そこでポケモンGOをやったら、どんな光景が見えるのか。

空爆直後の街を一人で歩く子どもを見つめる、悲しげなピカチュウ。

シリア人アーティストのハリド・アキルさんの作品だ。タイトルは「POKEMON GO IN SYRIA - PART 1」。

祖国の内戦を撮った写真にポケモンを重ね、何を訴えようとしているのか。
【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

「ポケモンを通じて、祖国で起きていることに光を当てたい。それが唯一の思いです」。現在、トルコにいるハリドさんは、BuzzFeed Newsにそう語った。

シリア北部アレッポ出身。2012年、個展のためにトルコに来て以来、内戦の故郷に帰れていない。いまは妻とイスタンブールに暮らす。

アレッポは、古代都市とも呼ばれる歴史ある街。世界遺産の城や市場は、めちゃくちゃに壊された。激しい戦闘は、いまも続く。

「ゲームに熱中する人たちがいる一方、戦争に苦しむ人たちもいる」。そんな現実が、作品のきっかけになったという。

ポケモンGOが世界で話題になったことと、シリアの内戦が、ニュースで同列に報じられたことに、違和感を覚えた。

「そこで思いついたんです。2つの世界を混ぜてしまおうと。ポケモンGOをシリアでやったらどう見えるのか、想像してもらおうと」

犠牲者の多くは、市民だ。死者は推定47万人、480万人以上が国外に避難した。内戦前の人口の20%を超える。

収まる気配はない。7月27日にもクルド人都市で自爆テロが起き、少なくとも44人が死亡した。

ハリドさんの作品は注目を集め、ネットで拡散した。「思いがけず日本にまで作品が届き、嬉しいです。いつか東京でも展覧会を開いてみたい」と話す。

日本でシリア内戦に興味がある人は、多くはない。私がそう伝えると、ハリドさんは言った。

「中東と日本が、もっとアイデアを交換できれば良い。そうすれば、互いの理解を深めることも、オープンになることもできるはず。だからこそ、作品を展示してみたいんです」

作品の題名には「PART 1」とある。

「少しでも早く戦争が終わってほしい」とハリドさんは願う。

内戦が続く限り、ハリドさんは「シリアのポケモンGO」を作り続けるのかもしれない。世界に惨状を伝えるために。早く作品が完結することを祈りながら。

最終更新:7月30日(土)6時0分

BuzzFeed Japan

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。