ここから本文です

「ガバナンスに不備」 群大病院患者死亡で事故調報告書

上毛新聞 7月30日(土)6時0分配信

 群馬大医学部附属病院(前橋市)の旧第2外科(2外)で同じ男性医師(退職)の手術を受けた患者が相次ぎ死亡した問題で、学外有識者でつくる医療事故調査委員会は29日までに、「病院全体のガバナンス(統治)に不備があった」などとする報告書をまとめた。医師の過酷な勤務環境を改善しなかった管理体制や、旧第1外科(1外)を含む二つの外科が併存した弊害を指摘。「患者中心の医療とは大きく乖離(かいり)した旧弊が存在した」と結論づけた。

◎「1外」「2外」に競争意識 情報共有なし

 事故調は30日に群馬大の平塚浩士学長に報告書を提出し、上田裕一委員長が会見する。報告書は83ページにわたり、事実の経緯や検証の結果を記した上で診療、倫理、医療安全、教育など九つの観点から提言している。7月末までの報告書公表を目指していた。

 報告書は、男性医師による手術で高い死亡率が続いた背景には、人員確保や指導体制、手術の適応を検討する体制などが不十分なまま、高難度の外科治療が導入されていたと指摘。

 1外、2外が併存したことで潜在的に競争意識があり、合併症や死亡例について共同で検証したり、防止策が共有されることはなかったとした。「弊害が長年改善されず(男性医師が執刀し、死亡した)18例が発生、発覚が遅れた背景となった」と断じた。肝胆膵(すい)を担当する2外の医師数は1外の3分の1以下で、手術数は限界を超えていたとした。

 2外の2009年度の肝胆膵手術を巡っては、男性医師による死亡例が集中し、いったん休止された後に再開。日常的に手術の適応や術式、技術について話し合う「同僚評価」が十分行われていなかったなどとし、本来は教授(診療科長)の適切なマネジメントが必要だったとした。

 男性医師について「診療録の記載が極めて乏しく、患者の状態が読み取れず不適切」と批判。記載は医師法で定められた義務で、多忙などを考慮しても不十分であってはならない、とした。

 同病院は死亡例を把握後、独自に調査し遺族への説明を予定していたが、報道が先行したことで「あたかも報道を契機に公表したともとれる状況」になり、病院の取り組みが誤って理解されたなどと言及した。

1/2ページ

最終更新:7月30日(土)6時0分

上毛新聞