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中国、南シナ海に新型飛行艇投入か 緊張続く沖縄周辺も活動範囲に

乗りものニュース 7/30(土) 10:00配信

緊張続く南シナ海に中国の新たな一手か?

 2016年7月23日(土)、中国の国営航空機メーカー中航工業(中国航空工業集団公司、AVIC)は、広東省の珠海(ズーハイ)において、国産の大型飛行艇AG-600をロールアウトさせました。

「飛行艇」とは、ボート型の胴体をもち、湖や海上など水面を滑走し離着水が可能な水上機の一種であり、別途、飛行場離着陸用の車輪も有しています。中航工業はAG-600の主要な任務について、森林火災における空中消火(着水時にポンプで水を汲み上げる)、および海難救助であると主張します。

 しかし、AG-600はその能力がゆえに、周辺国との緊張状態に少なからず影響を与えることが懸念されます。

 中国は現在、南シナ海のほぼ全域にわたり自国の主権を主張し、同海域においていくつかの岩礁を埋め立て飛行場を建設するなど、強引な策を推し進めています。2016年7月12日(火)にはオランダ・ハーグの仲裁裁判所において、国際法的に同主張を否定する裁定が出されましたが、中国はこれを無視する態度を鮮明にしており、今後も軍事力に物を言わせ同海域の支配を強めるでしょう。

 そんな南シナ海において、中国が大型飛行艇AG-600の運用を開始すれば、飛行場を持たない小さな岩礁の拠点とも航空輸送路をつなぐことができるようになります。さらに、同海域全域を海難救助進出範囲内に収め実績を重ねることで、既成事実を作り、自国の支配がおよぶ根拠にすることが予想されます。

日本の飛行艇によく似ている中国の新型飛行艇 コピーの可能性は?

 AG-600は日本の国産飛行艇、新明和工業US-2と輸出市場において競合する可能性もあります。AG-600は4基のターボプロップエンジンを動力とし、最大離陸重量は53.5トン。US-2が47.7トンですからひとまわり重く、実用化後は世界最大の現用飛行艇になる見込みですが、両機はほぼ同規模で、用途も同じ好敵手とみてよいでしょう。

 また、AG-600とUS-2の飛行性能を比べてみると、最大速度560km/h、航続距離4500kmはまったく同じであり、驚くほど似通っていることが分かります。ただし、搭載量は消防飛行艇として使用した場合、AG-600が12トンの消防用水を取水可能なのに対して、US-2が15トンと機体の規模を逆転。かつて、川西航空機と呼ばれていたころには大日本帝国海軍の二式飛行艇などを手がけ、戦後は50年にわたり海上自衛隊の飛行艇を製造し続けてきた老舗、新明和工業に“一日の長”があることがわかります。

 飛行艇にとって最も重要な性能のひとつ、「耐波性能」はどうでしょう。AG-600の胴体は新明和独自の技術である「溝型波消し装置」と同等のものを備えており、明らかにUS-2を意識して設計されています。そのため両機は見た目まで似通っています。

「溝型波消し装置」自体は1950年代に開発された既存技術なので、「違法コピー」とはいえません。同じような技術水準で同じような用途の機体を設計すると、必然的に似たような機体になってしまうのはよくあることであり、新明和の溝型波消し装置の有効性がそれだけ高く評価されたと見なすべきでしょう。

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最終更新:7/30(土) 18:59

乗りものニュース