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自動運転、普及のカギは販売現場に 試金石になる新型「セレナ」

乗りものニュース 7月30日(土)15時0分配信

インターネット登場時のように「世界が変わる」可能性

 2016年夏にデビューする日産の新型「セレナ」には、「プロパイロット」という機能が備わっています。ステアリングとアクセル、ブレーキをシステムが操作し、設定された車線内をキープして巡航、もしくは先行車に追従するというものです。ドライバーはステアリングを握っていなければなりませんが、システムがその操作をアシストするので、非常に楽に走ることができます。特に高速道路のノロノロ渋滞で威力を発揮することでしょう。

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 この「プロパイロット」は発展途上である自動運転技術のひとつですが、これを搭載する新型「セレナ」は、日産のみならず自動車業界全体にとって今後、自動運転が成功するか否かのカギを握る存在になるかもしれません。ポイントは、「セレナ」という車種、そして「ディーラー」です。

「自動運転」と聞けば、「機械が自動で目的地まで運転してくれるもの。運転手はなにもしなくていい」と思う人もいるのではないでしょうか。もちろん自動車メーカーも、そうした理想を目指して開発は行っています。しかし、ドライバーがなにもしなくていい完璧な自動運転技術の実現はとてつもなく困難であり、最初の一歩が踏み出されたばかりというのが現状です。

 一方で、自動運転という夢は非常に魅力的です。運転が楽になるという程度ではなく、「移動」という概念が大きく変化する可能性があります。まるでインターネットが初めて世に出たときのように世界が変わるかもしれないのです。そんな魅力的な技術の一端が、未熟とはいえ実用化されたのです。期待が高まるのも理解できます。

「自動運転」に大きなギャップ 現実は「よそ見も許されない」

 しかし、「期待」と「現実」には大きなギャップがあります。2016年5月、テスラ社(アメリカ)の「モデルS」というクルマで不幸な死亡事故が発生。このクルマには自動運転技術「オートパイロット」が備わっていたため、NHKをはじめ世界中のメディアが「世界で初めての自動運転による死亡事故が発生した」と大騒ぎになりました。

 テスラのオートパイロット機能は、ほとんど日産「セレナ」の「プロパイロット」と同じ。左右の走行車線を認識し、その中央を維持して前走車に追従するという機能で、「ドライバーは走行しているあいだ、ずっと安全を確認している必要がある」のです。まだ「自動運転中はなにをしていてもいい」というほど玉成された自動運転技術のシステムは実用化されておらず、ドライバーはよそ見も許されないのが実情です。

 自動車業界は、完璧な自動運転技術の確立に向けて熱心に議論を繰り広げています。そのなかで、自動運転技術の進捗具合を共通化するために4段階からなる「自動運転のレベル」が決められました。

 具体的に、「レベル1」はアクセルかブレーキ、もしくはステアリングのいずれかをシステムが担当するというもの。現在でいう「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」です。「レベル2」はアクセルとブレーキ、ステアリングをシステムが担当。ただし、システムが作動していようが、そうでなかろうが、常にドライバーによる運転の監視が必要です。

「レベル3」になると、システムが運転中はドライバーの監視も必要なくなります。ただしシステムが働けない状況になったら、すぐさまドライバーが運転を代わります。つまり寝ていてはいけません。運転席を離れてもいけません。そして「レベル4」は、システムにすべてをゆだねるというもの。ここでようやく、ドライバーは運転という作業から解放されます。

 この規定に照らし合わせれば、日産「セレナ」の「プロパイロット」もテスラの「オートパイロット」も、「自動運転レベル2」という状況です。

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最終更新:7月30日(土)16時24分

乗りものニュース