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モデルは社長!ゆるキャラ「じぇいえもん」のゆるくない話

ニュースイッチ 7月30日(土)11時24分配信

惑星ホボチキュウを飛び回って、街の施設を守るクラフトマンに

  「ゆるキャラ」ブームが続いて久しい。テレビ番組やニュース、イベントなど毎日どこかで目にする機会があり、経済効果や地域活性化と結びつけて論じられることも多い。「くまモン」や「ふなっしー」といった“成功者”ばかりではないが、どんなキャラクターであれ、作り手にとっては格別の思い入れがあるようだ。建築・土木工事やコンサルティングを行うJM(東京都千代田区、大竹弘幸社長、03・5275・7048)の「じぇいえもん」も、そんなキャラのひとつ。大竹社長に思いを聞いた。

<社長を動物に例えるとイノシシだったから>

 じぇいえもんはイノシシのような風貌のキャラクター。若手社員を集めて2013年に結成した「U-25」というプロジェクトから生まれた。モデルは大竹社長その人。デザインを担当した寺嶋千晶さんは「飲み会の席で大竹社長に『自分を動物に例えたら』という話を振ったら『俺はイノシシだ』と答えが返ってきた」と由来を語る。

「なぜゆるキャラをつくったのかと言うと、当時流行していたから」(寺嶋さん)。軽いノリから生まれたじぇいえもんだったが、周囲にはゆるキャラ好きが多く、好感触を得た。高さ1・5メートルほどの巨大じぇいえもんを段ボールで制作した寺嶋さん。所属していた事業所ではおおいに盛り上がったという。そんな盛り上がりが大竹社長の耳に入った。

 大竹社長に言わせると「ある日突然出てきた」というじぇいえもん。「最初はちょっと疑問だった。『足はもうちょっとあった方がいいんじゃないか』とか」(大竹社長)。それでもじぇいえもんをモチーフに携帯電話クリーナーをつくって外に持ち歩いたところ、友人からの評判は上々。今度は高さ10センチメートルほどの人形をつくって配ったところ、これも人気を得た。大竹社長も「手触りがいい。これ以上小さくなると、この手触りは出ないんだ」と満足気だ。

 ちなみにぬいぐるみの原価は1体470円ほど。クオリティーが高いのもうなずける。費用をかけすぎでは、と心配にもなるが、大竹社長は「当社は営業部がない。建設業界では一般的に売り上げの3%くらいは営業マンの人件費や広告宣伝費で使っている」と意に介さない。すでに1500体をつくった。「著作権料を払うようになるのはもう少し先かな」。人気に火が付くのはまだまだこれから、と言わんばかりに笑顔を見せる。

<「ニュークラフトマンスピリット」>

 大竹社長の並々ならぬ思いがこもったじぇいえもん。とは言え、最近はウェブサイトの更新も止まり、一時期の勢いが失われたようにも見える。もともとU-25というプロジェクトの副産物として生まれたじぇいえもん。U-25は活動を休止したので、じぇいえもんもこのままフェイドアウトしていくのかもしれない。そんな疑問に対して大竹社長は「今は新しい段階に来ている」と説明する。

 そもそも大竹社長がじぇいえもんを気に入っているのは、見た目だけではない。「僕が感動したのは『惑星ホボチキュウを飛び回って、街の施設を守るクラフトマン』というキャラクター紹介。じぇいえもんは地球デビューに備えて、ホボチキュウで練習しているんだ、と。この設定に感動した」(大竹社長)。

 ウェブ動画「ゴーゴー!!じぇいえもん」では、20XX年という未来、じぇいえもんとその仲間たちがビッグデータ分析や映像解析技術、AR(拡張現実)といった最先端の技術を駆使して街の困りごとを解決する姿が描き出される。JMが目指す方向性「ニュークラフトマンスピリット」を端的に示すものだ。

 「職人は何かと下請け扱いされるから面白くない。社会インフラの「医者」なのに、医者のような尊敬されてない」(大竹社長)。ITを駆使する「ニュークラフトマン」が客観的なデータに基づき、社会インフラを効率的に修理していく姿を思い描く。

 じぇいえもんを生み、育てる中で若手社員は大竹社長の考え方や、JMという企業の目指す未来をよく理解できるようになったという。「次は社員自身がJMがどのような会社か語れるようにする」。社員一人ひとりが「ニュークラフトマン」として活躍する姿が見え始めたとき、じぇいえもんの新しい物語も始まるのかもしれない。

日刊工業新聞・第ニ産業部 齋藤正人

最終更新:7月30日(土)11時24分

ニュースイッチ