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19期連続増収でも危機感を抱くテレビ通販の最大手

ニュースイッチ 7月30日(土)12時55分配信

ジュピターシップ、徹底した視聴者目線の番組作りとオムニチャネル化

 テレビ(TV)通信販売で国内最大手のジュピターショップチャンネル(東京都中央区、篠原淳史社長)は、TV通販専用チャンネル「ショップチャンネル」で“モノを売る”さまざまな仕掛けを実践している。番組はジュエリーや化粧品、日用品、洋服などを販売し、平均売上高は1分間でおよそ25万円。1日で3億8000万円にのぼるという。小売店の消費が振るわない中、1分1秒が勝負の生放送にこだわりつつ、顧客との接点を融合するオムニチャネル化も進める。

 「47%オフの特別プライス!。続々ご注文のお電話をいただいています」―。東京・茅場町にあるショップチャンネルの撮影スタジオ。「キャスト」と呼ばれる進行役が紹介するのは、目玉商品のノンシリコンシャンプーだ。ショップチャンネルは生放送で24時間、365日放映する。台本はなく、共演者との臨場感ある掛け合いも見どころの一つだ。

 同時刻、注文を受信する同社のコールセンターに視聴者からの電話が集中していた。1日当たりの平均着信数は約7万1000件。「番組放送中に、いかに着信を取って販売を伸ばすかがポイント」(オペレーション本部の水野緑受注オペレーション部長兼東京コールセンター長)だ。

<コールセンターが注文回転率が低下を防ぐ>

 顧客は9割が女性。中心年齢層は40―60代。最も注文の電話が多い時間帯は、深夜の0―1時と昼間の12―13時という。そのためコールセンターは24時間、365日体制でオペレーターが待機。問い合わせなどの注文以外の電話は通話時間が長く、注文回転率が低下する原因になる。この解決策としてコールセンターは、問い合わせ内容を生放送に反映する役割も果たす。

 例えば、ネックレスを販売する番組の放送中に「留め具を見たい」といった問い合わせが増加すると、コールセンターから番組を制作する副調整室のスタッフへ即座に連絡が入る。スタッフはキャストへ、視聴者の問い合わせ内容を提供。キャストは耳に着けたインカムを通して情報をキャッチし、留め具の説明を始める仕組みだ。

 同様に、注文状況や在庫数を知らせて視聴者の購買意欲を高めたり、注文の増減で紹介時間を臨機応変に調整したりする。「生放送とコールセンターが一体になった運営が強み」(同)という。

 視聴者が知りたい情報を即時に届ける番組作りが支持され、2016年3月期売上高は前年比2・2%増の1395億円となり19期連続で増収だった。だが、篠原社長は「今後、視聴可能世帯は大きく伸びない」と危惧する。

 大手調査会社などによると、15年の国内通販市場規模は約8兆5000億円。うち5200億円を占めるTV通販市場は、少子化やTV離れが進み鈍化傾向にある。

<CATV、スマホと連携加速>

 一方で急成長するのが、米アマゾンや楽天などが台頭するBツーC(対消費者)向け電子商取引(EC)市場。篠原社長は「もはやTVショップの“売り場”が増える環境ではない」との認識だ。

 そこで同社は、TV通販とインターネットやスマートフォンを連動した販売を強化するため、3月にKDDIとケーブルテレビ(CATV)国内最大手のジュピターテレコムと資本提携した。「オムニチャネルを形成する」(篠原社長)のが狙いの一つ。CATVやKDDIのauユーザーといった顧客を取り込む。

 1分1秒にこだわり成長してきたジュピターショップチャンネル。篠原社長は今後、3社の連携を加え新たな成長戦略を描く。

最終更新:7月30日(土)12時55分

ニュースイッチ