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鉄鋼大手いよいよ業績回復か。10月以降に好条件そろう

ニュースイッチ 7月30日(土)18時24分配信

建設向け回復、内需拡大に期待

 鉄鋼大手の業績が少しずつ改善に向かいそうだ。2016年4―9月期連結決算は前年からの低迷を引きずるものの、10月以降の下半期は、国内を中心に建設向けの回復や政府による経済対策、東京五輪・パラリンピック関連工事開始など好条件がそろい、販売価格も改善する公算が大きい。もっとも、急激な円高の進展や中国発の市況の大変動があれば、そうしたプラス要因を打ち消し、下降するリスクもはらんでいる。

 日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は10月以降について「個人消費や設備投資の回復、五輪関係の工事に加え、政府も第二次補正予算を組んで頂けると思う」と指摘。実際、先行指標の公共工事受注金額や建築物着工統計などの数字が好転し、夏以降の内需拡大に期待が高まっている。回復が遅れている輸出も、足元では中国などアジア市況が回復傾向にある。15年10―12月期を大底に現在はその水準を大きく上回っているだけに、前年比ではプラスに作用する。

 鉄鋼大手の業績も16年4―9月期までは前年同期を大きく下回りそうだが、10月からの下期でカバー。17年3月期連結決算の経常利益は、新日鉄住金が16年3月期の水準(2009億円)近くまで戻し、JFEホールディングスも期初予想で前期並みとしている650億円を確保しそうだ。

 神戸製鋼所は輸出比率が低く、円高がややプラスに働くこともあり、少なくとも期初予想の350億円以上は達成できそうだ。

 もちろん「数年前の1ドル=80円、90円台の時は大変だった。110―120円なら、コスト的にも競争できるが…」(進藤会長)と述べるように、円高によって業績は大幅に下振れする。新日鉄住金は1円の円高で営業益が年間10億円、営業外損益でも同10億円が吹き飛ぶ計算。

 JFEホールディングスの林田英治社長は「100円台までなら業績に決定的な打撃は受けない」と言うが、同社も輸出比率が高く、過度な円高はマイナス要因となる。原料在庫の評価損が膨らむことで、計算上の損失が増えるのも痛い。

 一方、輸出比率の低い神鋼は直接のダメージこそ比較的小さいものの「自動車などのユーザーが打撃を受けると、間接的に影響を被る」(川崎博也社長)のが懸念材料。ユーザーからの値下げ要請が強まり、「スプレッド(利幅)がきつめになるのが不安」と述べるように、中国市況の先行きと併せ、下振れリスクを警戒している。

最終更新:7月30日(土)18時24分

ニュースイッチ