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[総体]「5つの約束」作り、共通理解深めてきた履正社、PK戦制して「大きな壁」の入り口へ

ゲキサカ 7月30日(土)6時50分配信

[7.29 全国高校総体3回戦 履正社高 1-1(PK4-2)日章学園高 Eスタ]

 苦しい一戦だった。純白のユニフォームに身を纏った履正社高(大阪2)が、「大きな壁」の入り口に辿り着いた。

 全国高校総体3回戦、日章学園高(宮崎)との一戦は、立ち上がり早々の5分にMF大塩真生のゴールで先制に成功するなど、履正社のペースで試合が進んだ。しかし、徐々に佐藤詩響と佐藤颯汰の2年生ダブルボランチを軸に攻撃を組み立てる日章学園の前に、押し込まれるようになっていく。思うようにリズムを作れなくなって行った履正社だが、最終ラインに君臨するCB清翼空が抜群のリーダーシップを発揮し、チームを支え続けた。

「相手が前に勢いを持って来ていたので、ラインを下げ過ぎないことと、集中力を切らさないことを意識しました」。

 周りの状況を見ながら、相手のロングボールに対し競り合うだけでなく、適格なコーチングで周りをコントロールした。我慢の展開が続く中、後半33分にFKを与えると、「一番気を抜いてはいけないところで、バラつきが出てしまった」と清が語ったように、佐藤詩の蹴ったボールはフリーとなったDF中武諒にヘッドで合わされ、土壇場で同点に追いつかれてしまった。

「甘さが出た」と悔やんだが、この時、清の頭には去年のことが浮かんでいた。昨年の全国総体準々決勝・東福岡高戦。彼は唯一の2年生スタメンとして出場をしていた。決定的なチャンスを作りながらも決めきれず、最後は相手のカウンターに沈められる形で失点をし、0-1の敗退を喫した。

「勝てるチャンスがあったのに勝てなかった。凄く悔しかったし、あの経験をしたのは僕と途中から出場した澤島(輝、FW)の2人だけ。だからこそ、僕と澤島にはその教訓を伝える責任がある」。

 まだ同点。ここで気落ちをしたり、混乱をしてしまったら、去年の二の舞はおろか、去年立てたステージにすら辿り着けない。気持ちを切り替え、清は周りに声を掛けると、最終ラインの冷静な頭脳としてチームを落ち着かせ、1-1で後半をクローズさせた。

 迎えたPK戦では、先攻1人目のキッカーとして登場して冷静に決めてチームに勢いをもたらすと、GK瀧浪朋生が1本をセーブ。日章学園の4人目がクロスバーを当て、履正社5人目のキッカー・FW町野修斗が決めて勝負有り。履正社が2年連続でベスト8に駒を進めた。

「今年は昨年に比べて上手くはない。だからこそ、僕らはチームが立ち上がって、3年生全員でミーティングをして、『5つの約束』を決めたんです。その5つは1.声を出す、2.全力プレー、3.攻守の切り替え、4.運動量、5.球際。今日の試合はこのすべてが出来ていなかったから、こういう展開になった。まだまだ決めたことをやれていない。今年は全員でまとまらないと、上には行けないと思うので、もう一度この『5つの約束』を確認したい」(清)。

 1年生から主軸を張り続けたメンバーが最高学年を迎えた昨年と比べると、どうしても個の力は足りない。だからこそ、彼らは「5つの約束」を作り、共通理解を深めて来た。それが2年連続の全国総体切符をもたらした。そのことを昨年の経験者である清が常に心に刻んでピッチに立っているからこそ、2年連続の全国ベスト8に辿り着くことができた。

 ベスト8は履正社にとって「大きな壁」。過去4年間で選手権2回、全国総体でも1回、その壁に阻まれている。準々決勝・流通経済大柏高戦では清を中心に5つの約束を実行し、壁を突き破って歴史を塗り替えるべく、「上手くない」チームの機運は高まりを見せている。

[写真]履正社に昨年の経験を伝えている清が勝利に貢献(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・文 安藤隆人)

最終更新:7月30日(土)6時50分

ゲキサカ

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