ここから本文です

地銀が取り組む地域活性! 伊予銀行が進める「ものづくり支援チーム」

ZUU online 7/31(日) 6:10配信

地方銀行は、さまざまな形で地元密着型のサービスを展開している。愛媛県松山市に拠点を置く伊予銀行も、そんな地方銀行の一つだ。

愛媛県といえば造船やタオル製造など製造業が盛んだが、少子高齢化による人口減少や長年続くデフレ経済の影響もあり、企業も厳しい局面にあるといえよう。そのような状況の中、伊予銀行では製造業出身者等を採用し、2013年10月に営業部内に「ものづくり支援チーム」を結成した。愛媛県の製造業をバックアップするためのチームだが、その取り組み内容や展開について紹介しよう。

■日本に誇る愛媛県の産業

愛媛県の製造品出荷額は4兆678億円と四国全体の47.4%のシェアを占め、四国圏内ではダントツの「工業県」として知られている(平成25年工業統計調査より)。とりわけタオル、紙製衛生材料、祝儀用品(水引等)、障子紙、書道用紙、そして連続的に紙を製造する抄紙機といった分野では、日本でトップの工業製品出荷額となっている。

都市別に見ると、造船やタオル、繊維、石油などの工業製品で知られる今治市、非鉄金属や電気機械、鉄鋼、飲料などで知られる西条市がある。さまざまな分野の工業製品製造会社が数多く存在していることが、愛媛県の特徴といっていいだろう。

そんな愛媛県の製造業を金融機関として支えているのが、伊予銀行である。

■プロの目で支える製造業支援チーム

経済産業省の工業統計調査でも、四国にある製造業の事業者数(従業員4人以上)は、2013年時点で6,845と、20年前に比べて約半分に減っている。

こうした現状の中で伊予銀行が取り組んだのは、愛媛県の強みである製造業を支援する組織づくりである。それが「ものづくり支援チーム」で、メンバーは金融マンではなく製造業で活躍したという経歴を持っている。すべて外部から募集して、製造業のプロフェッショナルだけでチームを構成した。「ブロの目」で製造業者が抱える悩みを解決しようというのだ。

実際、チームには大手家電メーカー・パナソニック出身の技術開発担当、音響機器大手・JVCケンウッド出身の生産管理担当、医療機器メーカー・パナソニックヘルスケア出身の知的財産戦略担当といったメンバーが集まった。

また、すべてが技術畑の人間ではなく、大手商社出身者(販路開拓担当)、経産省出身者(補助金担当)も加わり、それぞれが専門の分野を活かして活動している。製造業には不可欠なスキルを持ったメンバーを揃えたわけである。

具体的には、ある企業が「これまで手作業でやっていた袋詰め作業を自動化したいが、どこに依頼していいのかわからない」という声があれば、伊予銀行と取引のある製造業者から自動化技術を持っている会社とコンタクトを取り、仲介して問題を解決する。製造業のプロだから、どの会社のどの技術がマッチしているのかが、すぐにわかるのだ。

さらに、製造業の共通の悩みである「後継者問題」についても、積極的な取り組みを展開している。経営者の話をヒアリングするなど、チーム全員で後継者問題を解決するために取り組むという支援体制が確立しつつある。

伊予銀行が、こうした支援チームを設立したのも、魅力ある企業を県内に増やしていかないと、若者が東京や大阪にますます出て行ってしまうという危機感があったからだと言われている。製造業の後継者問題に金融機関が乗り出すところまで、日本の「ものづくり」には危機が迫っているのかもしれない。

実際に伊予銀行が取り組んだサポートは、次のような分野になる。

● 技術開発サポート……独立行政法人・産業技術総合研究所等との連携により取引先の技術開発をサポート
● 生産管理サポート……生産工程、在庫管理等で困っている取引先に対するアドバイス
● 知的財産戦略アドバイス……特許取得や他社の特許把握等の情報やノウハウを求める取引先へのアドバイス
● 販路開拓サポート……大手メーカーとの商談会、大阪府「ものづくりB2Bネットワーク」の活用
● 補助金アドバイス……製造業向け各種補助金申請書の作成アドバイス

それぞれのスタッフが専門性を生かして、たとえば「使われなくなった知的財産(特許)」を活用して企業に紹介することで、開発コストの削減や他社技術の研究、新分野への応用などを可能にする。あるいは、行政のIターン、Uターン政策と連携して、人材の地方回帰促進も行う。金融機関の取り組みによって、地域パワーの増幅を可能にするのだ。

■金融マンの視点を超えたサポートを実現

デフレ経済が長引き、後継者問題に苦しむ地方の中小企業が増える中で、銀行もクライアントである製造業者の目線に立ったサポートを積極的に行っている。

伊予銀行が、金融機関以外の分野からの転職者を集めて製造業者をサポートする「ものづくり支援チーム」を結成したことは、新たな試みである。製造業が抱える技術開発などのニーズに素早く、そして的確に対応出来る体制を整えたのは、新しい時代の金融サービスの在り方を示唆しているのかもしれない。

いつの時代でも、日本のものづくりを救うためには銀行の力が不可欠となっている。そして、近年の銀行によるサポート方法は、時代に合わせた変化を続けているのだ。 (提供:nezas)

最終更新:7/31(日) 6:10

ZUU online