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社説[求人倍率1倍超]「雇用の質」こそ重要だ

沖縄タイムス 7月31日(日)5時0分配信

 沖縄労働局が発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0・03ポイント高い1・01倍となり、復帰後初めて1倍を突破した。
 リーディング産業の観光が外国人客の増加などで45カ月連続で前年同月を上回るなど好調さを堅持している。これが牽引(けんいん)力となり、観光関連の幅広い業種に好影響を与えているようだ。
 6月単月に限った「瞬間風速」ではなく、労働局は「今後も堅調に推移する」と分析しており、本年度平均も1倍を超えるとみている。
 待鳥浩二局長は「沖縄県の労働市場は新しいステージに来た」と強調するが、内実は、手放しで喜べるものではない。
 都道府県別では相変わらず最下位。気になるのは、6月の新規求人数(原数値)に占める正社員の割合が29%にとどまっていることである。約7割が正社員を希望しているにもかかわらずである。
 総務省の2012年の調査で、非正規の占める割合は44・5%で沖縄が全国ワーストだった。
 15~34歳の若年者に限れば非正規は50・4%と深刻である。2人に1人は非正規で、離職率も高い。賃金が安く長時間労働を強いられ、経済的自立が困難なため結婚や出産にも影響している。
 有効求人倍率では地域や職種の格差もある。本島中部には大きな事業所がなく同地域を管轄するハローワーク沖縄は0・67倍と低い。宿泊や保育業界は深刻な人手不足を訴えている。地域バランスや待遇の改善は喫緊の課題だ。
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 総務省が同じ日に発表した4~6月期平均の地域別完全失業率で、最も高かったのは沖縄で5・3%だった。失業率は改善しているものの、ワーストからはいまだに脱出できていない。
 有効求人倍率が1倍超になったことを考えると、賃金や職種、勤務地など条件が合わない「雇用のミスマッチ」のせいであろう。
 沖縄の企業はほとんどが中小零細で占められており、雇用環境は厳しい。
 14年度の県労働環境実態調査によると、労働条件通知書を交付していない事業所が半数以上に上り、就業規則を作成していない事業所も3割以上あった。年休制度のない事業所は4割近く、社会保険に加入していない事業所も2割近くあった。
 今後、少子高齢化の中で優秀な人材をいかに確保していくかが企業の飛躍の鍵を握る。社員が安心して働ける環境を整えることが労働生産性を高めることにつながり、企業にとってもプラスになる。
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 沖縄の労働市場が新しいステージに入ったことは、雇用を量から質へ転換するチャンスである。
 沖縄経済の好況が続く今だからこそ、最低賃金の引き上げ、仕事と育児や介護、地域活動といった生活と調和のとれたワークライフバランスの在り方、企業においては社員の福利厚生の充実-などやりがいをもって働くことができる取り組みが必要だ。正社員化を進めることも官民が手を尽くしてほしい。

最終更新:7月31日(日)5時0分

沖縄タイムス