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盗撮目的でスマホを向けただけで「条例違反」、滋賀県の改正案で冤罪が生まれないか?

弁護士ドットコム 7月31日(日)9時24分配信

現行の規制で取り締まることができない「盗撮行為」について、滋賀県警はこのほど、県迷惑行為等防止条例を改正して、規制強化する案をまとめた。

滋賀県のホームページによると、現行の条例では、盗撮目的で隠しカメラを設置していても、下着姿などの映像が撮影されていなかった場合、「盗撮」として取り締まることができなかった。そのため、下着姿などを盗撮する目的で、カメラを人に向けたり、設置する行為も新たに取り締まるようにする。

また、現行の条例は、下着姿などに対する盗撮行為の規制場所を「公共の場所」「公共の乗り物」に限定しており、会社や学校、スポーツクラブなどの会員制商業施設で盗撮行為があっても、取り締まることができなかった。改正案は、「公共の場所」に加えて、「特定多数の者が集まり、利用する場所」にまで広げる。

今回の滋賀県警の条例改正案についてどう見るか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に聞いた。

●「盗撮する目的」という心の中の状態を確認することは事実上不可能

「人の下着姿等を盗撮する目的で写真機等を『人に向ける行為』を規制する内容の条例改正は問題が大きいといわざるを得ません。

現在、ほとんどの携帯電話・スマートフォン(以下では、「スマートフォン等」といいます)がカメラ機能を備えており「写真機等」に該当します。そして、スマートフォン等は検索、情報収集、SNS、ゲームなど多様な利用形態があるため、本人が意図しないでレンズ部分が女性に向いている可能性があります。

そうしますと、例えば、女性の短いスカートや脇や胸のあいた洋服の隙間から下着が見えていた場合に、たまたまスマートフォン等のレンズ部分がそちらを向いていたら、規制の対象となってしまう可能性があります」

盗撮目的という前提条件をどう考えるべきか。

「もちろん、規制対象とするためには『盗撮する目的』が必要であり、そのような目的がない場合には規制の対象とはしていないという反論もあるでしょう。

しかし、『盗撮する目的』という心の中の状態を確認することは事実上不可能です。そのため、『レンズ部分が下着の方向を向いていたのは盗撮の目的があったからだ!』と捜査機関に決めつけられて、冤罪が生じてしまう可能性があります。

いったん犯罪者扱いをされれば、たとえ実際に刑事処分を受けなくても、仕事を失い、あるいは家族関係が崩れてしまうという大きな被害を被ることもあります。そのため、刑事処罰の必要性があるからといって、安易に処罰範囲を拡大したり、あいまい・不確実な行為まで処罰することは差し控えるべきだと考えます」

星野弁護士はこのように話していた。



【取材協力弁護士】
星野 学(ほしの・まなぶ)弁護士
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。

事務所名:つくば総合法律事務所
事務所URL:http://www.tsukuba-law.com

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7月31日(日)9時24分

弁護士ドットコム

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