ここから本文です

二枚貝研究、17歳が定説に一石 国際学会で最優秀賞、論文化に意欲

福井新聞ONLINE 7月31日(日)8時19分配信

 福井大附属中出身の高校3年生、吉村太郎さん(17)=横浜市=が、マレーシアで開かれた国際軟体動物学会のポスター発表で最優秀賞を受賞した。二枚貝の1種「エゾキンチャクガイ」の研究で、雌雄の殻の形状に差異が認められたことを報告。二枚貝の殻は雌雄で違いがない、との定説に一石を投じる内容が高く評価された。外国の専門誌への論文寄稿も提案され、「研究を進め論文化したい」と意気込んでいる。

 同学会は貝類など軟体動物の研究者が集い、3年に1回開かれる。ポスター発表は7月20、21日に現地のホテルで行われ、吉村さんが全文英語で説明した研究を含め88件の成果が紹介された。吉村さんは現地を訪れ直接、各国の研究者らに解説した。

 研究では、エゾキンチャクガイの雄雌計約130個を生息地の北海道から取り寄せ、殻の膨らみなどを計測。この結果、雄は雌より殻に厚みがあり、雌は雄より殻の膨らみが大きい傾向を確認した。

 形状の違いができた要因を「精巣よりも卵巣が大きいからではないか」と考察した。雌は卵巣を成長させるのにエネルギーを使うため、殻は薄いまま。「卵巣のための広いスペースを取ろうと膨らみが大きくなる」と指摘する。これに対して雄は「雌に比べてエネルギーを殻の成長に回せる」。外敵の攻撃に耐える強固な厚い殻を作る、と結論付けた。

 発表者のほとんどは大学生や大学教員。高校生と分かると「信じられない」と驚かれたと同時に、着眼点や内容のユニークさ、成果を導いた意欲が評価された。

 研究をアドバイスした東京大の佐々木猛智准教授(47)=貝類学=は、研究者の間で「二枚貝の雄と雌には違いがないと信じられてきた」と指摘。「常識にとらわれない姿勢が素晴らしい。エゾキンチャクガイと同じ系統の二枚貝の研究にも役立つのでは」と評価している。

 小学生のころから貝殻の収集が趣味だった吉村さんは、日本古生物学会で貝の化石に関する研究を発表するなど、貝類の生態を追究してきた。福井大附属中を卒業後、慶応高(横浜市)に進学してからも研究を続けており、日常的な観察を通じ二枚貝にも性差の違いがあると推察した。自身の考えを裏付ける結果が出たとき、「発表したら、良い評価が得られるのではないか」と手応えは感じていたという。

 ポスター発表時、軟体動物専門誌の編集長を務めるオックスフォード大名誉教授から「論文を(専門誌に)載せないか」と声を掛けられたという。吉村さんは「大きな成果が残せた」と喜んでいる。

福井新聞社

最終更新:7月31日(日)8時19分

福井新聞ONLINE