ここから本文です

群大病院 手術数拡大が「院是」 事故調が再発防止策を提言

上毛新聞 7月31日(日)6時0分配信

 群馬大医学部附属病院(前橋市)の旧第2外科(2外)で同じ男性医師(退職)の手術を受けた患者が相次ぎ死亡した問題で、学外有識者でつくる医療事故調査委員会は30日、報告書を平塚浩士学長に提出した。記者会見した上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)は「仕組みや機能が不十分であるのに、手術数拡大を“院是”とし、高度医療を推進した」と指摘し、事故報告システムなど問題を早期に把握する仕組みづくりといった改善策を提言した。事故調は1年後に提言の進行状況を公表する方針だ。

 事故調は「病院全体のガバナンス(統治)に不備があった」との立場から診療、倫理、医療安全、教育など九つの観点で提言をまとめた。男性医師が所属した2外の肝胆膵(すい)(肝臓、胆道、膵臓)担当が少人数で過重な勤務となっていたことを踏まえ、こうした院内の最小診療単位の人員体制やコミュニケーションの状況などが適切かを確認し、改善する必要があると指摘。関連病院にもつながる2外と旧第1外科(1外)の「壁」の解消、2度の症例検討会による手術適応の判断なども提案した。

 死亡例の続発を早期に把握できなかったことを問題視し、安全性が確認されていない治療の倫理審査体制や、医師の主観に頼らない事故報告システムの構築のほか、患者や家族との診療録の共有、医療安全週間の設定など、遺族の思いを反映した内容も盛り込んだ。

 同病院は昨年11月に死亡例の全てを報告する制度を導入するなど、改革を進めている。前橋市の同大荒牧キャンパスで上田委員長から報告書を受け取った平塚学長は「提言を真摯(しんし)に受け止め、さらなる改善、改革に早急に取り組みたい」と述べた。大学側は今後、遺族に対し個別に調査結果を説明する予定としたが、30日に前橋市内で会見した被害対策弁護団と遺族会は男性医師らの直接の説明を改めて求めた。

 同病院では、男性医師の腹腔(ふくくう)鏡や開腹の手術を受けた18人の死亡が2014年に判明。その後の病院の調査でさらに12人の死亡も明らかになった。事故調は男性医師や遺族らへのヒアリングのほか、日本外科学会に死亡症例の検証を委託するなどし、18人の事例を中心に検証した。

最終更新:7月31日(日)6時0分

上毛新聞