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引きこもりから復活導く恩師の本 PC技術活かしHP版「自信に」

福井新聞ONLINE 7月31日(日)17時39分配信

 仕事の重圧から統合失調症となり、5年近く引きこもり状態だった福井市の40代男性が、高校時代の恩師が書いた英語の教則本を、パソコン技術を生かしてホームページ(HP)に再編集。「達成感が自信につながった」と回復のきっかけをつかみ、このほど再就職を果たした。恩師の“助け”に感謝しながら、本格的な社会復帰に向けて一歩を踏み出している。

 福井市の高野桂輔さんは、藤島高を卒業し県外大学を経て県内メーカーに入社したが、連日の深夜勤務で体調を崩し、就職7年目で退職した。統合失調症だった。再就職先も長くは続かず、自宅で趣味のパソコンに没頭する引きこもり状態に。体調の波が激しくなり、2回の入院を余儀なくされた。

 2回目の入院生活を終えた2014年末、自室の本棚にあった一冊の本が目にとまった。1987年出版の「DISCOVER FUKUI(ディスカバー・フクイ)ふるさとトーク」(福井新聞社刊)。県内の主な観光地を紹介する英会話本で、藤島高の英語教師だった小林誠さん(越前市)が教材として、福井新聞教育面での連載をまとめた一冊だ。

 「役に立つと思ってずっと目に付くところに置いていた先生の本に、もう一度光を当てたいと思った。時間はたっぷりあった」(高野さん)。担当医の勧めで始めたデイケア通所と並行し、HPの制作に打ち込んだ。デイケアをきっかけに生活のリズムと健康を徐々に取り戻し、以前のように引きこもることはなくなった。

 15年5月からは父親の凱夫さん(73)と一緒に、本に登場する観光地や祭り約50カ所を訪ね写真を撮影。HPには原本にはなかった写真を添えたほか、英文を音声で読み上げる機能も付け加え、教材本を“バージョンアップ”させた。

 今年4月に小林さんの自宅を訪ねると、85歳になった恩師は30年前の本が結んだ縁を喜んでくれた。後日届いた手紙には「While there is life there is hope(生きている限り希望がある)」とつづられていた。

 6月末のHP完成後、まもなく市内の事業所への就職が決まった。「HPが福井のPRに役立ってほしい。私生活では仕事を頑張って経済的自立につなげたい」と前を向いている。HPアドレスはhttp://discoverfukui.web.fc2.com/

福井新聞社

最終更新:7月31日(日)17時39分

福井新聞ONLINE