ここから本文です

夏フェスシーズン到来、バスファン歓喜 なぜ?

乗りものニュース 7/31(日) 12:00配信

バスファンの目的も「非日常」

 毎年、夏になると日本各地で大小さまざまな音楽フェス、いわゆる「夏フェス」が開催され、ミュージシャンのファンが数多く集まります。

 実はそうした音楽フェスには、バスファンも集まります。

 バスと音楽の関係というと、平 浩二の『バス・ストップ』という往年のヒット曲(1972年)や、ゆずの『サヨナラバス』(1999年)が思い浮かぶところですが、バスファンが多く訪れる音楽フェスには、必ずしもバスが関わる楽曲やミュージシャンが登場しているわけではないようです。

 2016年7月9日(土)と10日(日)に川崎市の東扇島東公園で開催された「DEAD POP FESTiVAL 2016」にも、ミュージシャンのファンとともにバスファンが集まりましたが、熱くバスファンを公言しているミュージシャンの出演や、そうした曲が演奏されたわけではありませんでした。

 この音楽フェスは、会場の徒歩圏に鉄道駅がない川崎市臨海部での開催。そこで、神奈川県下の貸切バス免許を有する川崎市バスと横浜市営バス、東都観光バス(東京都豊島区)、国際興業(東京都中央区)が専用シャトルバスを運行し、大勢の観客をピストン輸送しています。

 そのため当日、現地では異様なほど多くのバスが走行。しかも普段、川崎駅までは乗り入れているものの、川崎市の臨海部には顔を出さない横浜市営バスもそこに現れます。音楽ファンは「非日常」を楽しむためフェスに行きますが、バスファンもまた「非日常」を楽しむために集まるのです。

バスが重宝される音楽フェスらしい理由

 大勢の観客が集まる野外音楽フェスは広い場所が必要で、会場は臨海部や湖畔の公園など、市街地や鉄道の駅から遠くなりがちです。また、会場に駐車場があっても音楽フェス自体に使うことが多く、公共交通機関の利用や「パークアンドライド」を促進する必要があります。また出演者が入れ替わる音楽フェスでは開催時間中、絶え間なく観客の輸送が必要。そこで、柔軟な輸送ができるバスが多数集められるというわけです。

 開催場所が変われば、走るバスの特徴も変わってきます。滋賀県草津市で今年2016年の9月17日(土)と18日(日)に開催される「イナズマロック フェス」では、バスの運行を近江鉄道バス(滋賀県彦根市)グループが担当。例年、およそ50両にも迫るバスが投入され、その車両の多くは親会社の西武鉄道(埼玉県所沢市)にならって日産ディーゼル(現・UDトラックス)製です。首都圏やグループ会社から移籍した車両も存在します。

 この「イナズマロック フェス」では、2010(平成22)年にUDトラックスがバス事業から撤退して以降、経年車が多く姿を消しつつある日産ディーゼル製で、かつ車体が富士重工製という“貴重”なものをまとまった数、見ることが可能。そのため、シャトルバスが運行される道路では多くバスファンがカメラをかまえます。

 今年は7月21日(木、前夜祭)から24日(日)まで苗場スキー場(新潟県湯沢町)で開催された「FUJI ROCK FESTIVAL '16」では、鉄道駅とのあいだで越後交通(新潟県長岡市)グループの車両が中心になってシャトルバスを運行。首都圏からの移籍車をはじめとするバラエティ豊かなバスが頻繁に走ったほか、予備車もかり出されて、普段はそれが使われない場所で運転されるなど、バスファンも盛り上がっています。

 また、8月6日(土)と7日(日)、13日(土)と14日(日)には「国営ひたち海浜公園」(茨城県ひたちなか市)にて「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016」が開催される予定で、こちらでも“20年選手のバス”や“第二の人生を歩むバス”たちが活躍することでしょう。

 もちろん、音楽フェス自体も楽しんだうえにシャトルバスもあわせて楽しむ、パワフルなバスファンもいます。また大きな音楽フェスでは、全国各地からツアーバスの車両も集結。そこもまた、バスファンが気になるところだったりします。

海老塚 土史木(バス交通文化愛好家)

最終更新:8/1(月) 14:15

乗りものニュース