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「政治利用」それとも「表現の自由侵害」? 横浜・教科書パネル展

カナロコ by 神奈川新聞 7月31日(日)8時0分配信

 横浜市戸塚区にある戸塚図書館前ロビーで6月13~19日に行われた「よくわかる教科書パネル展」をめぐり、自民党の横浜市議が「特定の検定済教科書を批判する政治活動への利用は許されない」と指摘、市がロビーの利用ルールを検討する事態となっていることが分かった。主催者は「ほかにも多種多様な展示が行われている。なぜ私たちだけが許されないのか。指摘自体に違和感がある」と話している。

 教科書展は、同市立中で2012年度から使われている育鵬社の公民教科書と、別の自治体などで使われている数冊とを比較、紹介する内容だった。

 具体的には育鵬社の中学校公民教科書は全国シェアが6%と採択率が低く、「高校受験、大学受験も不安」とする弁護士のコメントなどを紹介。教科書の記述に下線を引き、他の教科書とその違いが分かるようにしていた。区によると、展示手続きや施設利用などは適切に行われたという。

 産経新聞は、7月7日付1面でパネル展について「横浜市施設で育鵬社批判展 共用スペース 団体に提供」という見出しで、「特定の主張を含む展示に、不特定多数の人が利用する場所を提供した市側の姿勢が問われそうだ」と問題視する記事を掲載した。

 同市議会の横山正人市議(自民)はインターネット上のこの記事を引用した上で、自身のツイッターで、「特定の検定済教科書を批判する政治活動に横浜市が関連施設を占有させている事実が発覚した。会議室や講堂などの利用は止む終えないとしても多くの利用者が通行する図書館の入り口ホールを認めることは許されない」(原文のまま)と書き込んだ。

 施設を所管する市民局地域施設課は、同市議から「(施設利用について)どう考えるのか、検討してもらいたい」と連絡を受けたという。同課は「何をもって公共の場にふさわしくない政治活動とするかは判断が難しい。施設利用について画一的な基準を設けることは、表現の自由との関係で難しい問題。最高裁判例や他の自治体の事例などを調べ、対応を検討している」と慎重姿勢で臨んでいる。

 同市議は書き込みの意図について「展示内容を問題にしているわけではない。市の施設で特定の政治的主張がなされ、それを不特定多数の人が見れば、市が便宜を図っていると誤解される恐れがある。庁舎管理の問題として指摘している」と説明した。「誤解の恐れ」という指摘について市は「まず主催者を明記する看板を立てることにする」と話している。

 一方で、主催団体の世話人は「施設利用を問題視されること自体に違和感がある。自由な言論があってこその民主主義だ。不当な指摘で表現の自由が侵害されている」と話している。

最終更新:7月31日(日)8時0分

カナロコ by 神奈川新聞